東武鉄道は31日、将来の自動運転の実現に向け、営業列車で「前方障害物検知システム」の検証試験を実施すると発表した。
今回試験を実施するシステムは、魚眼カメラやステレオカメラ、レーザー光による測距装置「LiDAR」を統合し、列車前方の障害物を認識するもの。これまで同社訓練線で検証試験を実施してきた。同社は今回、検証をより実用化の段階に進めるべく、営業列車の一部車両にシステムを仮設。運行時間帯や天候等の環境の変化に応じた障害物の有無と、その位置を正確に検知するための試験を実施する。
同社が実現を目指す自動運転は、運転士は乗務せず、緊急時の避難誘導などを担う添乗員が、先頭部以外に乗務する、「GoA3」と呼ばれるもの。同社では、2023年度以降に大師線での検証運転の開始を目指している。同社では、「鉄道は一般の交通と隔てられた専用敷地内の運行が前提であるものの、自動運転の実現のためには、総合的な安全性の確保が必要である」としており、運転士に代わる前方確認システムとして、本システムの検証を進めている。
営業列車での検証試験は、11月1日に開始。20400型1本にシステムを仮設し、日光線南栗橋~東武日光間、鬼怒川線下今市~新藤原間、宇都宮線新栃木~東武宇都宮間で、通常列車と同様に運転士による操作で運行しつつ、検証を実施する。