JR東海は10月31日、最新の技術の活用による経営体力の再強化策として、同社が目指す鉄道の将来像や、主な取り組みについて発表した。
新幹線では、全駅に可動柵を整備。ホーム上の安全度向上を目指す。また、「半自動運転機能」を導入。自動運転のレベルでは「GoA2」に相当するもので、発車時は運転士が手動で操作するが、運転中の速度制御や停車は自動で実施する。運転操縦機能の支援拡充により、運転士は駅発着時にホーム上の安全確認やドア開閉を担当。車掌は、列車内で利用者のサポート業務に注力する。また、異常時においては、運転士が列車の責任者として、車掌やパーサー等を統括して対処するとしている。
在来線では、3両以上の編成にもワンマン運転を導入。これに向け、一部編成に車両側面へカメラを設置し、運転士が車両カメラの画像で乗降状態を確認できるようにする。また、利用者の戸挟みや転落などを検知するため、画像認識技術活用の検討も進めているという。
利用者のサービス面では、交通系ICカード「TOICA」エリアを同社線全線に拡大。ネット予約やチケットレス化も拡大し、駅で事前にきっぷを購入することなく乗車できる環境を全線で整備する。駅においては、「サポートつき指定席券売機」や「集中旅客サービスシステム」など、遠隔での案内サービスを拡充。これにより、駅係員の配置は、利用実態にあわせた体制に見直す。
また、多様なニーズに応じた高付加価値サービスの提供として、グリーン車の上級クラスや、ビジネス環境を一層高めた座席など、新幹線の新たな座席のあり方を検討する。
このほか、状態監視、画像認識等の活用により、検査・修繕の質の向上に向けた取り組みを実施。2023年秋には、新幹線と旅先の移動手段や観光プランなどをシームレスに予約・決済できる「EX-MaaS(仮称)」を提供するとしている。
JR東海は、「より安全に」「より便利に」「より快適に」の3点を目指す鉄道の将来像として掲げ、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という同社の使命を力強く果たしていくとしている。