東京メトロと三菱電機は10日、鉄道用の「同期リラクタンスモーターシステム」(SynTRACS)による省エネ効果を確認したと発表した。
同期リラクタンスモーターシステムは、同期リラクタンスモーター(SynRM)と、これを制御するVVVFインバータ制御装置で構成されるもの。同期リラクタンスモーターは、固定子の回転磁界(磁力)と回転子(モーターの回転部分)鉄心内の磁気抵抗の差によって生じる磁極との相互作用により、トルク(回転力)を生み出すモーター。従来の誘導電動機よりも高効率化を実現できるのが特徴だが、一方で高出力化の達成が課題となっていた。
両社は2021年6月、鉄道用同期リラクタンスモーターシステムを実車に搭載した形での実証実験に世界で初めて成功。既存システムと同様な運用が可能であることを確認した。これを受け、同年12月から長期評価試験を実施。結果、既存システムを搭載する南北線9000系の大規模リニューアル車と比較して、約18%の省エネ効果が実現可能であることを確認したという。
両社では、本システムを世界最高レベルの効率が実現可能なものの一つとして、今後、新造車両や大規模リニューアル工事車両への導入を可能とし、鉄道車両のさらなる省エネ化に貢献していくとしている。