東京メトロは1日、無線式列車制御システム(CBTCシステム)の走行試験を、丸ノ内線の一部区間で開始したと発表した。
CBTCは、無線通信を使用する信号保安システム。各列車が無線で送信した列車位置をもとに、それぞれの列車が先行列車へ衝突しない停止限界点までの距離を計算し、運転を制御することで、列車間隔を保つ。
現在丸ノ内線で使用している保安装置「ATC」では、列車間隔を保つために位置を固定した「閉そく」を設定。先行列車が在線する閉そくの区間に後続列車が進入しないよう信号を制御することで、安全を確保している。これをCBTCに置き換えることで、従来の固定されていた閉そくの概念にとらわれることなく、効率的な運行が実現できる。加えて、途中駅で片方の線路に輸送障害が発生した際、支障のないもう片方の線路を活用することで、不通区間を排除することも可能となるという。
東京メトロでは11月、丸ノ内線四ツ谷~荻窪間で、営業運転終了後の走行試験を開始。日本の地下鉄では初となるCBTCの導入に向け、準備を進める。同社は今後、2023年6月に乗務員のCBTCシステム操作訓練を、同年9月に丸ノ内線営業線全区間での走行試験を、それぞれ開始。2024年度中に丸ノ内線で、2026年度中に日比谷線で、それぞれCBTCシステムでの営業運転を開始するとしている。