西武鉄道は18日、無線式列車制御(CBTC)システムの導入を目指し、多摩川線で走行試験を実施すると発表した。
CBTCシステムは、無線を用いて列車間隔を制御し、列車運行の安全を確保する信号保安装置。地上信号機や、列車位置の検知を目的にレールに電流を流す「軌道回路」といった設備が不要となり、列車の間隔も地上の信号機位置に左右されないため、維持コストの削減や故障リスクの低減、効率的な運行が可能となる。加えて、無線通信により列車の位置と速度を常時把握するため、高度な自動運転の導入や、高度な踏切制御による「開かずの踏切」対策など、様々な技術革新の基盤システムとなるという。
同社が現在採用している保安装置システムでは、地上に設置した信号機を用いて列車間隔を制御している。これにより安全は確保されているが、信号機や軌道回路など、多数の設備を整備する必要がある。加えて、列車間隔は信号機の設置間隔によるため、必ずしも効率的な運行が可能とはなっていなかった。
同社では現在、「西武式CBTC」システムの開発に着手。同社が現在使用している「列車情報装置」を活用したもので、同社が保有する全車両、同社線に乗り入れる他社車両が既に対応設備を搭載していることから、効率的にCBTCシステムを実現できるとしている。
西武鉄道は、多摩川線でのCBTC導入スケジュールについて、2023年1月に実証実験に向けた準備工事に着手し、2024年度初頭に走行試験を開始するとしている。