東武鉄道は10日、2024年度に導入する新型車両において、新たな車両推進システム「SynTRACS」や、車両バッテリシステムを採用すると発表した。
SynTRACSは、同期リラクタンスモーター「SynRM」と、フルSiC素子を採用した駆動用インバータを組み合わせたもの。SynRMは、従来車両で使用している誘導モーターに対し、発熱損失の低減や高効率を実現。回生ブレーキ領域の拡大による消費電力量低減を可能としている。また、永久磁石モーターに対しても、レアアースである永久磁石が不要であるほか、省保守化も実現しているという。
SynTRACSは、2021年に東京メトロが実証実験を実施し、鉄道用としては世界で初めて成功したもの。日比谷線用の車両に仮設し実証したところ、従来システムを搭載する南北線の車両に対し、約18%の消費電力削減を実現したという。東武では、私鉄では初めて、同システムを本格搭載する。
車両バッテリシステムは、列車の回生ブレーキで得られる電力を、車両内で蓄えるもの。これまでのように、回生ブレーキで発生した電力を架線へ戻すのではなく、車内の照明や空調など、編成内で有効活用する。また、補助電源装置(SIV)が故障した際には、バッテリーから補助電力を供給することで、機器故障時における冗長性を確保する。
新型車両は、野田線(アーバンパークライン)への導入を予定する。東武では、その他の温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みとあわせ、2030年度のCO2排出量を、2013年度比で約50%削減することを目標に掲げている。