JR九州は29日、鹿児島本線で「自動列車運転支援装置」の走行試験を実施すると発表した。
自動列車運転支援装置は、運転士の操縦支援を目的としたもの。自動運転のレベル区分では「GoA2.0」に相当するもので、運転士のボタン操作により、駅出発から駅停止まで、列車の加減速を自動で制御する。また、遅延時の回復運転や、特定の箇所での注意運転などの際の、運転士による臨機応変な手動介入にも対応する。
同社では現在、緊急停止操作や避難誘導を担う、運転士資格を持たない乗務員が先頭部に乗務できる「GoA2.5」の実証実験を、香椎線で実施している。香椎線の装置は、緊急停止以外の乗務員による手動介入は対応していない。加えて、装置はバックアップとして待機二重系としているほか、導入路線には地上子の増設という設備対応も必要となっている。
今回鹿児島本線で試験を実施する装置は、GoA2.5用の装置をベースとしつつ、運転士支援に役割を変更。乗務員に運転士の資格が必要となる一方、二重系構造の簡素化を可能とした。また、装置にデータベースを搭載することで、地上子の増設が不要となった。データベースは、運転士の走行実績を基にしたもので、経済性、快適性、定時性を兼ね備えた、理想的な運転を実現するという。
鹿児島本線での走行試験は、2023年3月に開始。赤間~久留米間にて、BEC819系「DENCHA」による非営業列車で実施する。
JR九州では、2023年度末までに、本装置を用いた営業列車における実証運転を目指すほか、当走行試験により得られる知見をGoA2.5自動運転の技術にもフィードバックすることで、両技術のより一層の技術向上を図るとしている。