JR東日本は4日、「羽田空港アクセス線(仮称)」の本格的な工事に着手すると発表した。
羽田空港アクセス線は、羽田空港のターミナル直下に乗り入れ、山手線方面や臨海部方面と接続する路線。2021年時点では2029年度の運行開始を予定していたが、現在は2031年度の開業を目標に掲げている。
今回着手するルートは、東京駅と羽田空港を直結する「東山手ルート」と「アクセス新線」。前者は1月31日付で鉄道施設変更認可を、後者は3月24日付で工事施工認可を、それぞれ国土交通省から受けていた。
東山手ルートは、1998年より営業を休止している貨物線「大汐線」を活用。田町駅付近で東海道本線と分岐したのち、トンネルを経て大汐線と接続し、東京貨物ターミナル駅に至る。
東海道本線と分岐する田町駅付近では、山手線の引き上げ線を撤去。山手線外回り、京浜東北線南行、東海道本線上り線を順次移設し、東海道本線の上下線間にトンネルを構築する。大汐線区間では、橋りょうや高架橋などの既存設備を活用し、土木・軌道・電気の各設備について健全度を調査した上で、必要な改修や改良を実施する。
アクセス新線は、貨物駅から羽田空港へ至る完全新線。貨物駅から公共施設、道路、運河下を通過し、羽田空港に至る。東京貨物ターミナルでは、JR東日本所有の用地を用いて、アクセス線の運用に必要となる車両留置線や保守基地線を整備する。
「羽田空港新駅(仮称)」は、第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの間の空港構内道路下、地下1階の高さに設ける。ホームは島式1面2線で、最大幅員約12メートル、延長約310メートルを予定する。
今回工事に着手する東山手ルートは、上野東京ラインへ乗り入れることで、東京駅と羽田空港を直結。同区間を約18分で結ぶ。また、宇都宮線や高崎線や常磐線方面からの所要時間短縮や乗換解消・低減といった、広範なエリアからの空港アクセス改善も実現するとしている。