JR西日本、オルツは24日、運転整理のAI化に向けた共同開発の取り組みについて発表した。
オルツは、JR西日本グループであるJR西日本イノベーションズが出資する、パーソナルAIの開発企業。鉄道DXへの挑戦のひとつとして、「鉄道指令業務アシストAI」の開発をJR西日本と共同で進めている。
両社による「鉄道指令業務アシストAI」の開発目的は、ダイヤ乱れの早期回復によるサービス品質の向上。ダイヤの混乱時、その運転整理には指令員に高度な知識とスキルが求められ、個人の能力や経験によってダイヤ復旧のスピードと質に差が生じることがあるという。また、指令員は現場からの問い合わせ、無線への対応、情報共有を行う必要があり、その負担の大きさも課題であった。両社は、運転整理業務をAIで支援、代行することで、指令員の負担の軽減や、運転整理案のばらつきの縮小により、ダイヤ復旧の質の向上を図るとしている。
オルツは、「鉄道指令業務アシストAI」の開発フェーズ1において、仮想線区の輸送計画をモデル化のうえ、ダイヤ乱れ発生時の指令員とAIの運転整理案を比較、検証。AIが指令員の案と同等以上の回復ダイヤを作成できることを実証した。2022年度に実施したフェーズ2では、JR西日本エリアの実在する線区およびダイヤのデータを用い、AI学習モデルを検証。結果、輸送指令員の運転整理を支援できる有用なソリューションとなる見込みが立ったという。
オルツは今後、本AIモデルの実用化に向け、現場での利用に耐えうる精度の確立、機能の追加などを予定する。また両社は、JR西日本エリアのみならず、他鉄道事業者への鉄道DXソリューションの販売展開も、共同で実施するとしている。