茨城県は23日、首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」の延伸計画について、土浦駅への延伸を決定した。大井川知事が定例記者会見で明らかにした。
つくばエクスプレスの延伸計画は、2018年に茨城県が発表した「茨城県総合計画~『新しい茨城』への挑戦~」において示されたもの。2050年頃の茨城の姿として、現在の終点であるつくば駅からの延伸を掲げていた。
茨城県は延伸案として、「筑波山方面」「水戸方面」「土浦方面」「茨城空港方面」の4案を検討。3月には、県が設置した第三者委員会により、「土浦方面への延伸が妥当」との提言を受けていた。県は、「もっとも実現可能性のある延伸先を選定し、その実現性を高めていくことが最善の方針」であると判断し、土浦方面へ延伸し、土浦駅で常磐線と接続する方針を決定した。
また、検討した4案のうち、茨城空港方面への延伸についても、空港発着枠の拡大など、空港を取り巻く状況が変化した場合、改めて検討するとしている。
延伸の実現に向けて、県は3段階のフェーズを策定。フェーズ1では、沿線開発による需要拡大策や費用削減方法など、採算性の確保に向けた調査・検討を実施する。フェーズ2では、国の交通政策審議会による答申に延伸計画を盛り込むべく、関係各所との調整を実施。フェーズ3では、事業主体となる鉄道事業者と共同し、延伸計画の事業認可取得を目指すとしている。
県による調査では、土浦方面の延伸によって、水戸~東京間で20分、水戸~つくば間で15分の所要時間短縮を見込む。また、つくばから90分圏域での県北・県央の居住人口は27.5万人の増加を見込むほか、秋葉原駅から2時間圏内となる東京通勤圏も、13.8万人が増加するという。一方で、概算事業費は1400億円で、費用対効果分析は0.6。採算性は4方面で最も高いものの、年3億円の赤字が見込まれており、延伸に際しては採算性の確保が課題となる。
つくばエクスプレスでは、秋葉原~東京間の延伸計画も検討が進んでいる。大井川知事は、「県内延伸と東京延伸を同時にやりましょう、という構図に持っていきたいのが私の考え」と説明。両方向での延伸を実現させるべく、土浦方面の延伸に向けた課題となる、採算性の確保に向けて意欲を示した。
また、延伸計画のスケジュール感について問われた大井川知事は、明確な時期は話せないとしつつも、「交通政策審議会の諮問が2028年になると思うので、それまでに関係者との調整をある程度終え、答申に載せることができるかが鍵となる」と説明した。