京浜急行電鉄とJR東日本は29日、品川駅街区地区における開発計画について発表した。
本計画は、京急線の品川駅周辺を対象エリアとするもの。駅と街をつなぐ東西・南北方向の歩行者ネットワーク強化などによる都市基盤の整備、国際交流拠点にふさわしい都市機能の導入、防災機能強化、先導的な環境都市づくりを目指す。
京急線の品川駅は、同駅周辺の連続立体交差事業によって、現在の高架線から地上への移設を予定。本計画の開発エリアは、同駅の直上およびその周辺となる。工事は、地上28階地下3階建ての高層ビルを建設する「北街区」、地上28階地下2階建ての高層ビルなどを建設する「南街区(南-a)」、南-aに挟まれる「南街区(南-b)」の3エリアにわけて進める。各エリアには、店舗や事務所、駐車場のほか、北街区には駅施設など、南街区(南-a)には宿泊施設、集会場、駅施設などが入居する。全体の敷地面積は約3万3500平方メートルで、延べ面積は約37万4300平方メートルとなる。
事業主体は、北街区がJR東日本、南街区が京急。工期は、北街区が2025年度~2030年度、南街区(南-a)が2025年度~2036年度、南街区(南-b)が2030年度~2032年度を、それぞれ予定する。
品川駅周辺や、隣駅である高輪ゲートウェイ駅の周辺では、東京都が定めた「品川周辺地域都市・居住環境整備基本計画」(2006年策定)、「品川駅・⽥町駅周辺 まちづくりガイドライン」(2007年当初策定)により、都市基盤(歩行者動線)の整備や都市機能の強化を目指し、⼟地区画整理事業や改良事業が進められている。各事業により、高輪ゲートウェイ駅付近と品川駅南側を結ぶ南北方向の歩行者動線、品川駅西側の国道15号をまたぐ東西方向の歩行者動線を整備。各地区での施設整備のほか、2027年以降の開業を予定するリニア中央新幹線や、2030年台半ばの開業を見込む東京メトロ南北線分岐線との接続とあわせ、国際交流拠点にふさわしい都市機能の導入を目指す。
また、隣接する高輪ゲートウェイ駅周辺では、1872年の日本初の鉄道開業時に建設された「高輪築堤」が、埋蔵文化財として出土していた。京急とJR東日本は、今回の品川駅街区地区での開発計画において、文化財行政などの指導の下、丁寧に文化財調査などを進めると説明。調査の結果、埋蔵文化財が出土した場合には、有識者や文化財行政を交えた会議などでの助言、意見を基に、適切な保存方法を検討するとしている。