西武鉄道は19日、運行管理システム「SEMTRAC」(セムトラック)を更新し、16日に運用を開始したと発表した。
運行管理システムは、列車のダイヤ管理やポイントの制御、駅自動放送や発車標などの旅客案内、異常発生時における司令所の運転整理の支援などを司るもの。同社のSEMTRACは、1992年に本運用を開始。2005年以降に一度目のシステム更新を実施しており、今回の更新は2回目となる。
今回の更新では、システム構成を「駅分散制御方式」から「中央集中制御方式」に変更。駅の案内表示や放送、ポイント制御などを担っていた「駅制御装置」の機能を、司令所設備の「中央制御装置」に移管した。各駅に設置していた機器を集約することで、設備を大幅に削減し、保守効率の向上を図る。
システム更新にあわせ、司令所では、列車の走行位置などを表示する「運行表示盤」の高性能化を図った。画面は従来の約1.4倍に拡大し、解像度も向上。各駅の監視カメラ映像などのオーバーレイ表示や、気象条件による運転規制表示が可能になったという。
旅客案内装置では、駅のホーム自動案内放送を拡充した。列車接近時の英語放送や、優等列車の途中停車駅案内を導入。3分から10分までの遅延を対象とする、遅延情報案内も追加した。
新SEMTRACは、9月10日初列車よりシステム切り替えを開始し、16日に本運用を開始した。当初は池袋線系統への導入となり、2023年度は池袋線、西武秩父線、豊島線、狭山線、西武有楽町線が対象。10月には、従来は別システムだった山口線も、本システムへと組み入れる。残る新宿線、西武園線、国分寺線、拝島線、多摩湖線、多摩川線への導入は、2024年度を予定する。