JR九州は26日、新たな多機能検測車「BIG EYE」を導入すると発表した。
「BIG EYE」は、老朽化した高速軌道検測車(マヤ車)を置き換えるためのもの。2020年7月の豪雨で被災したキハ200系をリニューアルし、検測車として活用する。
車両には、軌道検測装置、部材検査支援カメラ装置、建築限界測定装置を搭載。レーザー照射による線路のゆがみ測定、ラインセンサカメラによるレール固定用金具やボルトの状態撮影、ホームやトンネル、信号設備などの線路からの距離状態の測定を可能とする。レールの測定情報は、無線で電送し活用。レールの金具の撮影画像は、AI開発に活用し、不良箇所の自動判定技術の確立を目指す。同車により、高頻度に線路や設備を検測することで、TBM(時間基準保全)からCBM(状態基準保全)への転換を図り、より安全で効率的なメンテナンスの実現を目指すという。
車両やロゴのデザインは、社内の建築業務担当社員の間でコンペを実施し、決定したという。車両側面には、軌道変位を表す波形をあしらう。車体前面・背面は、ヘッドライトの目玉や牛をモチーフとしたデザイン。子どもをはじめとした利用者に親しみをもってもらいたいという想いを込めた。
「BIG EYE」は、2023年11月から2024年3月までの間、検測データの精度の検証、機器の耐久性、データ解析のシステム構築など、運用開始に向けた性能評価のための走行試験を実施。同社では、この結果を踏まえ、実導入の検討を進めるとしている。