遠州鉄道は10月31日、国土交通省中部運輸局長に対し、鉄道事業の旅客運賃上限変更認可申請を提出した。
申請した上限運賃では、大人普通運賃で、8キロ以内の区間を一律20円、8.1キロ以上の区間を30円、それぞれ加算する。初乗り運賃は160円(現行140円)、新浜松~西鹿島間は510円(現行480円)などとなる。普通運賃にあわせ、定期旅客運賃も改定。改定率は、定期外が9.7%、通勤定期が17.6%、通学定期が5.7%となる。
同社では、2022年2月にも、新型コロナウイルスの影響や安全確保対策の継続実施を理由に、運賃改定を実施していた。しかしながら、2022年度は物価高や外注工事費、電気料金の高騰を受けたことにより、運賃改定による事業収益増加額を、営業費用の増加額が上回ったという。加えて、社会的に人手不足が課題となっている中、従業員の処遇改善による働き手確保も喫緊の課題となっていることから、再度の運賃改定実施に踏み切ったとしている。
同社は今後の主要プロジェクトとして、供用開始から30年を超える第1期効果区間の耐震補強工事の継続、駅のバリアフリー化を実施すると説明。老朽化した車両の置き換えによる、消費電力の削減、修繕費の抑制も図るとしている。今後の導入車両については、現有車両の基本的な構造設計が古いものであることから、次世代型への変更も具体的に検討するという。
また、サービス改善策などとして、「12か月定期券」の発行、駅バリアフリー化の推進、鉄道線へのクレジットカードなどのタッチ決済導入を実施するとしている。
運賃改定は、2024年4月1日を予定。12か月定期券も、同日にサービス提供を開始する予定だとしている。