JR東海は16日、カーボンニュートラル実現に向けた「水素動力車両」の開発について発表。「水素エンジン車」の活用も検討しているとの方針を示した。
水素エンジン車は、既存のディーゼル車のように、レシプロエンジンなどを動力源とするもの。自動車業界では、過去にマツダが水素を使用可能なロータリーエンジン車を開発したほか、近年はトヨタ自動車が気体および液体の水素を燃料としたエンジンを開発し、自動車レース「スーパー耐久」に投入している。鉄道業界では、水素燃料電池車両はJR東日本の「HYBARI」などの先行例があるが、水素エンジン車の事例はなく、JR東海の取り組みが世界初となる。
同社が開発を進める水素動力車両は、燃料電池または水素エンジンと、蓄電池を組み合わせた、ハイブリッド車両とする。水素を燃料として使用することで、走行時のCO2排出量をほぼゼロに抑えることができるという。車両の開発は、同社と日本車輌製造が共同で実施。車両制御装置は、東芝インフラシステムズが開発する。燃料電池は、トヨタ自動車製のモジュールを使用。水素エンジンはi Laboが開発する。また、将来の水素供給体制については、ENEOSと検討を進める。
同社では、水素動力車両の開発にあたり、愛知県の小牧研究施設にある車両走行試験装置で、模擬走行試験を実施。山間部が多く長距離となる同社の非電化路線への適合可能性などを検証するとしている。JR東海らは今後、2023年11月に燃料電池を活用した試験を、2024年度以降に水素エンジンを活用した試験を、それぞれ実施する。