福岡市交通局は11月30日、地下鉄空港線・箱崎線用の新型車両について、デザインなどを発表した。
新型車両の形式名は「4000系」。6両編成を組むもので、18本の投入を予定する。
外観では、空港線・箱崎線の既存車両で採用しているブルーのラインを継承し、車両前面や肩部に配置。窓まわりには、空の玄関口である福岡空港や、「希望の未来」をイメージした、スカイブルーを配する。
車内は、袖仕切りや荷棚などにガラスを使用し、開放的な空間を演出する。座席幅は480ミリで、通勤車では国内最大だという。扉上には、3画面の案内表示器を設置。2画面で路線図や次駅案内などを表示し、1画面でニュースや広告などを放映する。このほか、各号車に4台の車内防犯カメラを設置し、セキュリティの向上を図る。カメラはリアルタイム監視機能つきで、これは地下鉄では初だとしている。リアルタイム監視機能つきカメラは、4000系のほか、空港線・箱崎線の2000N系、七隈線の各形式にも順次導入する。
福岡空港方の先頭車である6号車には、先頭部にフリースペースを設置し、子ども連れやベビーカー、車いすの利用者、キャリーバッグなどの大型手荷物持参者に配慮する。同車両の片側の窓は、「2歳小児がひとり立ちで車窓を楽しめる」高さとするほか、保護者や介助者が腰掛けられる、2方向から座れる座席を配置。反対側の区画では、扉間の座席の中間部に、大型の手荷物スペースを設ける。
各号車端部の優先スペースでは、座面を通常座席より60ミリ高くした、立ち座りしやすいシートを一部に設置。ベビーカーや車いすのスペースには、ヒップレストを設ける。また、優先席の対象に、新たに「小さなお子さま」を追加する。
4000系のモーターには、営業列車での本格導入は世界初となる、「同期リラクタンスモーター」を採用する。既存のモーターより高い効率を実現し、使用電力量は既存車両から約20パーセントの低減を見込むという。2021年に東京メトロが実証実験を実施し、東武鉄道も野田線向けの新型車両への導入を発表しているが、福岡市交通局は、4000系が営業列車での本格導入は世界初採用例になるとしている。
そのほかの走行機器として、台車には「リンク式片軸操舵(そうだ)台車」を採用する。カーブにあわせて、台車の2軸のうち1軸が可動するもので、曲線通過時の走行安全性向上と、走行音の低減を実現する。
4000系は、川崎車両が製造を受注していたことが、2022年に発表されていた。同形式は、2024年4~5月に車両基地へ搬入する予定。同年秋ごろの営業運転開始予定し、福岡市営地下鉄開業時に導入された1000N系を順次置き換える。