南海電気鉄道と泉北高速鉄道は20日、両社を経営統合することで基本合意したと発表した。
泉北高速鉄道は、中百舌鳥~和泉中央間の泉北高速鉄道線や、東大阪市や茨木市で物流拠点となる流通センターを運営している事業者。創業時は大阪府などが出資する第三セクターで、社名を「大阪府都市開発」としていた。2014年7月、南海が大阪府などから株式譲渡を受け、南海グループとなった際、社名を現在のものに改めている。
両社は経営統合の理由について、南海グループが目指す「2050年の企業像」の実現に向けたものだと説明。個別に鉄道事業と不動産賃貸事業を営む両社を経営統合することで、グループ経営の効率改善を実現し、サステナブルな公共交通の経営の実現、サステナブルな事業体制を目指していくとしている。
南海と泉北高速鉄道では、泉北高速鉄道の南海グループ入り以降、速達性向上や運賃値下げといった鉄道の利便性向上を通じての泉北ニュータウンなどの沿線活性化、物流施設の高度化、駅ナカビジネス拡充などの収益力向上に取り組んできた。加えて、2022年4月には、両社間でのさらなるシナジー発揮を目的に、南海が泉北高速鉄道を完全子会社化していた。
両社では、一連の改革とともに、沿線価値の強化を目的に、利用しやすい運賃設定の検討を進める。運賃案では、難波~泉ケ丘間で、通勤定期を5210円、通学定期を3610円値下げすることなどを盛り込む。
両社では、本経営統合について、南海を存続会社、泉北高速を消滅会社とする吸収合併を前提に検討することを定めた覚書を締結。今後、2025年度早期の経営統合に向けて検討を進め、最終合意の決議が完了次第、速やかに発表するとしている。