日本民営鉄道協会(民鉄協)などは10日、同日付で「民鉄キャリアトレイン」を拡大し、民営鉄道事業者78社を対象とすると発表した。
民鉄キャリアトレインは、勤務場所の都合により就労継続が困難となった社員を、参加各社相互で受入れるスキーム。2018年に開始していたが、これまでは大手事業者のみの参加となっていた。民鉄協などは今回、本スキームの対象を中小事業者へ拡大することで、業界内における多様な働き方の実現や、人材確保・ノウハウの継承等に取り組むとしている。
本スキームの適用例として、九州の鉄道事業者で勤務する運転士が、配偶者の転勤により家族全員での東北地方への引っ越しが決定した場合、運転士は所属会社へ東北地方の民鉄で勤務を継続したい旨を申請。運転士の情報は、民鉄協経由で所属会社から希望受入会社へと伝達する。審査の結果、受入会社が応諾すれば、運転士は東北地方の民鉄への就職が可能となる。なお、従来は参加各社間で人材受入について検討していたが、今回の拡大にあわせて民鉄協が仲介する形とすることで、様々な地域で本スキームの利用が可能になるとしている。
民鉄協は本スキームについて、参加各社でノウハウを獲得した人材を民鉄ビジネスにおける「共通財産」と捉え、各社が相互に即戦力として活かすことで、優秀人材に活躍の場を提供できると説明。各社社員にとっても、働きがいや働きやすさを享受できることが期待できるとしている。また、 本スキームの運用によって、将来にわたり鉄道の安全・安定輸送を全国的に維持するとともに、沿線地域の発展等を目指すとしている。
【1月11日追記:一部表記を訂正いたしました】