JR東日本高崎支社は22日、吾妻線の長野原草津口~大前間について、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論の実施を、群馬県、長野原町、嬬恋村に対し申し入れたと発表した。
吾妻線の同区間は、1987年にJR東日本が国鉄から承継して以降、移動手段の転換、人口減少といった影響により、利用者の減少が続いている。同社は2023年11月、2022年度の利用が少ない線区の経営情報を発表。これによると、吾妻線同区間の1日あたりの平均通過人員は、1987年度から67パーセント減少している。収支は4億6300万円の赤字で、100円を稼ぐために必要な費用を示す営業係数は2759円となっている。
高崎支社では、吾妻線同区間の現状に対し、「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できていない状況」と説明。地域住民に役立てる交通モードが鉄道なのか否か、存続や廃止という前提を置かない議論が必要だとしている。
JR東日本は、2023年3月にも、千葉県を走る久留里線の末端区間について、沿線自治体に対し議論の実施を申し入れている。同社はこれまで、新幹線開業にともなう並行在来線の経営移管や一部廃止、災害を契機とした路線再編は実施してきたものの、2023年度現在では、利用者数の減少を第一の理由として廃止に踏み切った路線はない。