熊本電気鉄道などは5月31日、全国交通系ICカードのサービス停止とクレジットカードなどのタッチ決済サービス導入について、方針の概要を発表した。
発表したのは、熊本電気鉄道、九州産交バス、産交バス、熊本バス、熊本都市バスの5社。2024年内(12月中旬ごろ)に全国交通系ICカードのサービスを停止する一方、クレジットカードのタッチ決済などに対応できる読取機器の導入を目指す。タッチ決済サービスは、国、熊本県、熊本市の支援が得られれば、2024年度中にも導入するという。
各社では、全国交通系ICカードとは異なるICカード乗車券として、「くまモンのICカード」を提供している。2023年度における熊本県民の電車、路線バスの利用状況では、いずれも「くまモンのICカード」による決済が過半数を占める一方、全国交通系ICカードの利用は路線バスで24パーセント、電車で18パーセントにとどまるという。また、今後は外国人労働者やインバウンドの増加によるキャッシュレス決済の多様化が見込まれることから、より多くの利用者のニーズに応えられるよう、全国交通系ICカードに代わりクレジットカード決済などに対応できる読取機器の導入を決めたという。加えて、「くまモンのICカード」とタッチ決済の機能を備えた読取機器への更新費用は、既存の機器をそのまま更新することの半分程度であり、経営の効率化を実現できると説明している。
今回の決済サービス変更時に導入する新たな端末には、QRコードを読み取れるカメラを設置。これにより、MaaSアプリなどを活用したQRコード利用も、技術的に可能となる。各社では、1日乗車券などでの導入を検討しているという。一方で、PayPayなどのQRコード決済については、現時点で導入の予定はない。
各社では、運賃などの決済手段について、全国交通系ICカードの停止、クレジットカードなどのタッチ決済導入の方針を、5月23日付で熊本県および熊本市に要望していた。各社は、サービスの詳細や具体的なスケジュールが整い次第、2024年夏頃に再度告知する予定としている。