JR東海とJR西日本は13日、「ドクターイエロー」による検測を終了する方針を発表した。
ドクターイエローは、「新幹線電気軌道総合試験車」である923形の通称。約10日に一度、東海道・山陽新幹線を走行し、電気・軌道設備などの状態を確認している。923形は、JR東海が保有する2001年製のT4編成と、JR西日本が保有する2005年製のT5編成の2本が存在。JR東海は今回、T4編成の老朽化のため、2025年1月をもって、同編成の検測走行を終了することを決めた。また、JR西日本でも、2027年以降を目途に、T5編成による検測を終了すると発表している。
JR東海とJR西日本は、ドクターイエローが引退する2027年以降の検測体制について、JR東海が保有する営業用車両のN700Sを活用するとしている。JR東海では、N700Sに搭載する機器として、架線や線路の状態を把握できるモニタリングシステムを開発。一部は2027年のミリ波方式列車無線の運用開始後に導入する見込みだと発表していた。2023年12月に鉄道コムがJR東海へ取材した際、広報担当者は「営業車での検測精度はドクターイエローとほぼ同等」と説明していた。
他社においては、ドクターイエローのような検測専用車両を持たないJR九州が、九州新幹線用の800系、西九州新幹線用のN700Sに検測設備を搭載しており、営業用車両による検測体制を構築している。JR東日本では、検測専用車両の「East i」を保有しているが、営業用車両であるE5系の1編成にも、検測機器を搭載している。
JR東海は、ドクターイエローの引退にあわせた企画として、撮影会や体験乗車イベント、車体掃除イベントの開催、関連記念グッズの販売などを予定していると説明。これらは決まり次第発表するとしている。
【6月13日追記:年表記を訂正しました】