JR東海は14日、東海道新幹線にN700Sを追加導入すると発表した。
N700Sは、2020年にデビューした、東海道新幹線の最新型車両。同社は今回、2026年度から2028年度にかけて、17本のN700Sを追加導入することを発表した。これにより、同社が保有するN700Sは、2028年度には計76本となる。
新たに導入するN700Sでは、1編成あたり2室の個室を設置する。また、車内整備作業の省力化を目的に、折り返し時に座席を自動で回転させる「自動座席転回装置」を、グリーン車および3・6号車以外の車両に搭載する。
車体では、再生アルミ部材の適用範囲を拡大する。従来のN700Sでも、廃車とした新幹線車両のアルミ部材をリサイクルし、屋根部に活用していたが、今回導入するN700Sでは、車体側面の一部にも拡大。適用範囲を従来の約1.6倍とする。
機器面では、車両データ伝送機能の強化を図り、車両故障などの異常発生時に、従来より詳細な車両データを指令所などに伝送できるようにする。これにより、車両状態をより詳細に把握できることで、異常時の運転再開の早期化を実現するとしている。
また、車上バッテリーによる給電機能に、新たに空調稼働機能を追加する。従来のN700Sでは、停電時に最寄りの駅まで自走できるよう、非常時用のバッテリーを搭載していた。今回導入するN700Sでは、本バッテリーから空調装置への給電を可能とすることで、停電により停車している際の車内環境改善を図る。なお、空調装置への給電機能は、自走用の給電機能とは併用できないという。
このほか、パンタグラフを監視する装置に「飛来物検知機能」を追加する。画像認識によりパンタグラフへの飛来物や付着物を検知するもので、早期発見することで重大事故の未然防止を図る。さらに一部の編成には、「営業車検測機能」を搭載する。「電車線金具異常検知装置」および「軌道材料モニタリングシステム」からなるもので、「ドクターイエロー」の機能を代替する。
さらに、地上設備と連携した機能として、架線電圧を維持する機能を搭載する。これまで地上装置で実施してきた同機能を車両側に搭載することで、「電力補償装置」などの変電所機能の一部削減を実現する。
JR東海では、今回発表した仕様のN700Sを、2026年度に4本、2027年度に7本、2028年度に6本導入する。また、既存のN700Sに対しても、飛来物検知機能や車両データ伝送機能の強化など、今回発表したN700Sの機能の一部を追加する改造を実施するとしている。