JR東日本とJR西日本は5日、在来線車両における装置・部品の共通化をめざし、検討を開始したと発表した。
共通化は、まずはモーターやオイルダンパー、行先表示器、パンタグラフなど、装置・部品から検討に着手する。事業者の独自性や効率化のバランスを見つつ、今後も共通化の対象部品を拡大するという。ドア位置や枚数、車体幅や長さ、車両のデザインといった、各事業者の独自の仕様となるものも、今後検討するとしている。両社は第一段階として、両社で共通化の土台作りを進めた後、他鉄道事業者や車両メーカー、サプライヤーとの意見交換を実施。その後、共通化部品調達の仕組みづくりに取り組み、将来的には共通化車両の展開も目指す。
両社は、4月に覚書を締結し、共同で検討を開始した。共通化に取り組む背景としては、旅客輸送量や労働生産人口の減少が見込まれる中、将来にわたり鉄道輸送事業を維持発展させ、安定的な輸送サービスを提供することを目的としていると説明。今回の取り組みにより、車両メーカーやサプライヤーの製造プロセスの効率化や生産性の向上に寄与することで、サプライチェーンの強靭化を目指すとしている。
両社はこれまで、北陸新幹線などに投入しているE7系・W7系の開発や、両形式を用いた自動運転の技術検討などに、共同で取り組んできた。一方、在来線における技術的な連携は、今回が初めてとなるという。両社は今後、サステナブルな車両製造に向けて、設計プロセスの効率化、設計技術の向上を目指した交流などを通じて、車両設計分野において会社の垣根を超えて連携を深めていくとしている。