鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は7日、北陸新幹線敦賀~新大阪間の詳細駅位置・ルート図や、京都駅周辺のルート案などを公表した。
北陸新幹線は、東京から北陸周りで大阪に至る整備計画が定められている。2024年現在は、東京~金沢~敦賀間(東北・上越新幹線への乗り入れ区間を含む)が営業しており、残る敦賀~新大阪間の整備事業着手に向けた手続きが進められている。
敦賀~京都間では、当初の計画通り、小浜経由で新幹線を建設。小浜線の東小浜駅付近に駅を整備する。
京都駅付近では、整備費用や工事期間などの観点から、「東西案」「南北案」「桂川案」の3案を比較検討する。
東西案は、既存の京都駅に並行する形で北陸新幹線の駅を設け、西から東に向かいトンネルを建設する案。採用時の総延長(敦賀~新大阪間の距離、以下同)は最も長い約146キロとなり、京都駅の工期もおおむね28年程度と最も長くなる。このほか、工事の難易度が高いことや、長期間にわたる八条通の交通規制を実施する必要性といった課題があるとしている。一方、京都駅を発着する在来線との乗り換え時間は約11分と、3案の中では最も短い。
南北案は、既存の京都駅の南側に新幹線駅を設け、南北にトンネルを建設する案。概算事業費は3案の中で最も高くなるが、京都駅の工期はおおむね20年程度と、3案の中では最も短い。京都駅の在来線との乗り換え時間は約13分を見込む。
桂川案は、京都駅ではなく、JR京都線の桂川駅に北陸新幹線の駅を設置する案。総延長は約139キロで最も短く、概算事業費も最も低くなるが、京都駅とのアクセス性や、工事施行時における難易度の高さといった課題がある。桂川駅での乗り換え時間は約10分を想定。京都駅発着の在来線との乗り換え見込み時間は、約19分となる。
京都駅の先は、新幹線は松井山手駅付近の新駅を経て、新大阪駅に至る。道中は大部分がトンネル区間となる。また、京都~松井山手間には車両基地を設ける。
敦賀~新大阪間の工期は、敦賀~京都間の山岳トンネルが約20年、京都駅部が最長28年、新大阪駅が約25年を見込む。2016年度の試算ではいずれも15年程度としていたが、働き方改革や検討の深度化といった理由により長期化した。また、概算事業費も2016年度の試算時より増加しており、費用が最大となる南北案を採用した場合は、2023年4月時点の物価でおおむね3.9兆円程度、将来の物価高騰を見込んだ場合はおおむね5.2兆円程度となる。
北陸新幹線敦賀~新大阪間は、手続きを最短で進めた場合、2026年1~3月以降に工事実施計画が認可され、事業着手に至る。