JR東日本は8日、「鉄道版生成AI」を開発すると発表した。
このAIは、鉄道に関する法令・規則のほか、これまで個々の社員や組織・分野で分散して保有していた業務知識や仕事に関するノウハウを学習し、社員の業務時にアドバイスできるようにするもの。これにより、ベテラン社員同様のアドバイスを受けることや、作業時の注意点や過去の発生事象の例示による安全性向上、専門領域外での調整時における他分野の社員への問い合わせ解消などが実現できるとしている。
鉄道版生成AIの開発は、3つの段階にわけて進める。第1段階では、「鉄道事業法」や「鉄道営業法」といった鉄道に関連する法令、社員の通信研修用の書籍、社内広報誌、社則類抄を学習。第2段階以降は、各分野に関するマニュアル、通達・連絡文書、過去の工事設計資料、その他事象資料を学習する。これにより、第1段階では「鉄道事業基礎AI」、第2段階では「鉄道事業専門AI」、第3段階では「鉄道事業汎用AI」の実現を目指す。ベースとなる大規模言語モデルは、日本語で学習をしたモデルを採用。すでに日本語の大規模言語モデルをもつパートナーとの開発を進めているという。
同社はこれまでにも、生成AIシステムを開発し、生成AIチャットツールを全社員が利用できるように展開してきた。しかしながら、生成AIが鉄道事業に関する基準や規定を学習し、鉄道固有の表現や図表類を理解できていないと、高精度な情報を生成することができないことが判明したという。同社では、この課題を解決するため、鉄道固有の知識を学習する今回の生成AI開発に至った。
JR東日本は同AIについて、2027年度末の完成を目標として、段階的に性能を高めていくと説明。将来的には、社内データシステムと連携し、業務上の提案を生成することで、社員の業務負荷軽減も目指したいとしている。このほか、鉄道事業者で共通的に利用できる生成AIモデルの開発を目指し、他事業者においても利用可能な仕組みを検討。日本の鉄道インフラ全体が将来にわたって安全かつサステナブルになることに貢献していくという。