京王電鉄は6日、井の頭線において、2025年春にも自動運転の実証実験を開始すると発表した。
井の頭線で試験する自動運転は、自動運転レベル「GoA2」と呼ばれる、運転士が乗務するタイプのもの。運転士が運転台の出発ボタンを押すことで発車し、加減速などの運転操作全般を自動化する。また、駅停車時の停止精度向上も実現し、ホームドア設置計画へ対応していくとしている。
実証実験は、既存の井の頭線用車両である1000系を使用する。運転士と車掌が乗務する回送列車を使用し、昼間、夜間とも試験を実施。運転操作の自動化による、定時性向上や省エネ効果を検証する。同社では、自動運転システムの導入により、井の頭線でのワンマン運転実現を目指す。
京王ではあわせて、京王線での自動運転設備を活用したワンマン運転の実現に向け、ホームドア整備工事や自動運転設備の整備工事を実施することを、6日に開催した取締役会で決定したと発表した。
同社が今回ホームドアの整備を決定したのは、京王線の府中駅や聖蹟桜ヶ丘駅、京王八王子駅などのほか、京王新線の途中駅2駅、相模原線の調布駅、京王永山駅を除く全駅、高尾線の全駅。同社はこれまで、新宿駅や笹塚駅、調布駅、吉祥寺駅などにホームドアを設置しているほか、明大前駅や井の頭線の各駅、京王永山駅でホームドア整備計画を進めている。今回のホームドア整備駅追加により、同社全駅がホームドアの設置対象駅となる。ホームドアの整備に際しては、バリアフリーの観点から、列車とホームとの間の段差および隙間を縮小する対策も、同時に実施する。
このほか、井の頭線で実証実験を実施するものと同様の自動運転設備を、京王線でも導入する。井の頭線の実証実験で得られたデータは、京王線での自動運転導入時にも活用するという。
ホームドア工事は、井の頭線では2020年代中ごろ、京王線では2030年代前半の完了を予定。自動運転化工事は、井の頭線では2020年代後半、京王線では2030年代中ごろの完了を予定する。