JR東海は26日、水素エンジンハイブリッドシステムの試作機が完成したと発表した。
同社では、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、水素を燃料とした水素動力車両の開発に取り組んでいる。これは、特急「ひだ」などで使用しているHC85系のハイブリッドシステムをベースとし、燃料電池や水素エンジンから得られる電気と蓄電池の電気で走行するもの。同社では燃料電池を用いたハイブリッドシステムの試験を先行して実施してきたが、今回水素エンジンによるシステムの試作機も完成したことで、2つの方式で試験を実施していく。
水素エンジンは、産業用ディーゼルエンジンをベースにi Laboが開発したもので、これをHC85系の発電機や車両制御装置、蓄電池と組み合わせ、水素エンジンハイブリッドシステムとした。水素エンジンは、高い耐久性や出力密度、高負荷域での高い効率が期待できるといい、燃料電池より低い水素純度でも運転できる特長があるという。
同社は、試作機の開発にあたって、エンジンが一定の回転数で動作できるように改良したほか、負荷状況に応じてエンジンと蓄電池の出力を最適化する制御を車両制御装置に実装したと説明している。
水素動力車両は、水素燃料電池を用いたものが、JR東日本の試作車両「HYBARI」などとして登場している。一方、水素エンジンを用いたものは国内外ではなく、JR東海のものが初の取り組みとなっている。
水素エンジンハイブリッドシステムは、2024年11月より、小牧研究施設にて、単体での性能評価試験を実施。2025年度には、模擬車両と組み合わせ、同施設での模擬走行試験を実施する。