鉄道コム

Suica「タッチなし」で乗車可能に、個人間送金も JR東、Suicaを10年で「生活のデバイス」に変革

2024年12月10日(火)16時7分

JR東日本は10日、「Suica」のデジタルプラットフォーム化を目指した将来戦略を発表した。これまでの「移動のデバイス」という立ち位置から、「生活のデバイス」への変革を目指す。

JR東日本がSuicaを「生活のデバイス」に変革(イメージ)
JR東日本がSuicaを「生活のデバイス」に変革(イメージ)
Suicaの当たり前を超える
Suicaの当たり前を超える

現在のSuicaは、ICカードやモバイル端末で、SF残高やチケット情報を管理していた。同社では現在、Suicaの主要機能をセンターサーバーへ集約することを目指しており、これにより新たな形態でのサービス提供が可能となる。

同社では、2028年度をめどに、「Suicaアプリ」(仮称)をリリースし、センターサーバー管理型の鉄道チケットの提供を開始する。これにより、月料金の支払いで、ある駅からの運賃が50パーセント割引となるようなサブスク商品や、記念日、買い物などで配信する鉄道クーポンといった、これまでにないようなサービスが提供できるとしている。また、センターサーバー化することで、タッチせずに改札を通過できる「ウォークスルー改札」、改札機がない駅での「位置情報等を活用した改札」の実現を目指す。

センターサーバー化のイメージ
センターサーバー化のイメージ
「タッチしない改札」のイメージ
「タッチしない改札」のイメージ

加えて、2024年現在は首都圏、仙台、新潟、盛岡、青森、秋田にわかれているSuicaエリアを、2027年春頃に統合することも発表。現在はエリアまたぎの利用はできないが、将来的には常磐線上野~仙台間といった複数のエリアにまたがる区間をSuicaで利用できるようになるという。Suica未導入エリアでは、モバイルSuicaアプリで購入できる「スマホ定期券」(仮称)の発売を予定する。さらに将来的には、「位置情報等を活用した改札」の実現により、JR東日本の全線でSuicaが利用できるようになるという。

将来的にはJR東日本の全線でSuica利用が可能に
将来的にはJR東日本の全線でSuica利用が可能に

Suica利用には事前にチャージが必要という方式にも手を加える。同社では、センターサーバー化により、クレジットカードや銀行口座とSuicaの紐づけを可能とすることで、チャージする必要のない「あと払い」の実現を目指す。

さらに、鉄道利用やショッピングの少額決済以外でも、Suicaの普及を目指す。2026年秋頃には、モバイルSuicaアプリを大幅にリニューアル。Suicaの上限額である2万円を超える買い物でも利用可能なコード決済機能や、家族や友人と電子マネーを送受信できる機能などを追加する。同社はこれにより、「日常も旅先も、これさえあればいい」という、ユニバーサルな決済ツールへの進化を図るとしている。

地域向けサービスや、生活に密着するサービス、訪日外国人向けサービスの提供も目指す。地域向けとしては、「ご当地Suica」(仮称)を展開し、マイナンバーカードとの連携により、地域内の生活コンテンツやサービス、商品券や給付金の受け取りや行政サービスの利用を実現。あらゆる生活シーンのDX化を可能とする。生活密着型サービスとしては、旅行時に列車の到着タイミングにあわせてタクシーが待機するようなサービスや、帰宅時に風呂が沸いているような「おもてなし」サービス、健康状態にあわせて食事をレコメンドするような「お気遣い」サービスなどを例に挙げる。訪日外国人向けには、2025年3月に、iOSで「Welcome Suica Mobile」サービスを提供。入国前のSFチャージを可能とし、シームレスに日本の鉄道を利用できる環境を整える。同サービスでは、将来的に日本のユーザー同様、ウォークスルー改札などを利用可能とする。

ユニバーサルな決済ツールへの進化を目指すSuica
ユニバーサルな決済ツールへの進化を目指すSuica

これらのほか、同社は他交通事業者へのSuicaサービスの提供も目指していく。センターサーバー化により、Suicaサービスを共通プラットフォームとして構築。他交通事業者のシステム導入や更新時におけるコストを抑え、ニーズに応じて利用できるようにする。

今後10年のSuicaのロードマップ
今後10年のSuicaのロードマップ

これらの内容は、JR東日本の中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」に基づくもの。今後10年間にて、Suicaの機能を順次グレードアップし、「生活のデバイス」への変革を目指す。

2024年12月10日(火)16時7分更新

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道未来インデックス

  • 札幌市営地下鉄タッチ決済乗車実証実験開始[2025年春]
  • 蒲須坂駅・郵便局窓口業務一体化[2025年春頃]
  • 山陽電気鉄道カードタッチ決済乗車サービス提供開始[2025年春]
  • 京王井の頭線自動運転実証実験開始[2025年春]

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。