茨城県は25日、つくばエクスプレス延伸構想について、県の事業計画素案を公表した。

茨城県内におけるつくばエクスプレスの延伸計画は、2018年に茨城県が発表した「茨城県総合計画~『新しい茨城』への挑戦~」において示され、2023年に土浦駅への延伸方針が決定していた。一方、第三者委員会やパブリックコメントでは、「採算性や費用対効果の面で課題がある」といった意見が出ていた。県は今回、実現可能性を高めるため、さらなる需要拡大や採算性向上などの方策を検討し、事業計画素案をとりまとめた。
計画する延伸区間は、つくば~新土浦間の延長約10キロ。中間駅は1駅とし、可能な限り最短経路で建設する。終点の新土浦駅は、JR線土浦駅に隣接した場所に設置する。計画区間の所要時間は約9分。開業目標は2045年とする。

概算事業費は1320億円。都市鉄道利便増進事業費補助を活用し、公的主体による鉄道整備主体と、鉄道事業者による鉄道営業主体を区分した、上下分離方式を導入する。累積資金収支の黒字化は、開業43年後を見込む。
つくばエクスプレスでは、東京側の延伸も構想されている。国の交通政策審議会が2016年に示した答申第198号では、つくばエクスプレス秋葉原~東京間の延伸が、国際競争力の強化に資するプロジェクトとして位置付けられている。同構想では、東京都が進める「都心部・臨海地域地下鉄整備事業」の新路線を経由し、JR東日本が整備を進める「羽田空港アクセス線(仮称)」へ乗り入れることで、茨城県と羽田空港を直結することも考えられている。
茨城県では、土浦側と東京側の延伸を一体で整備した場合の効果も検証した。秋葉原~新東京間約2キロの延伸とし、概算事業費は約1750億円と想定。土浦側と同様、都市鉄道利便増進事業費補助を活用する。これにより、東京~土浦間の所要時間は、現行の常磐線快速が約74分のところ、約57分へと17分程度短縮できるという。また、土浦延伸と東京延伸を一体で整備することで、茨城県側から都心部への通勤・通学などの需要増加が見込まれるなどの効果が期待できることから、累積資金収支の黒字化は開業27年後になるとしている。


