JR西日本は25日、安全性向上に関する現在の取り組み状況を、公式Webサイトで発表した。
「安全性向上に向けた主な取り組みについて」と題した資料は、20ページにわたって記載されている。前半では、同社が2008年に策定した「安全基本計画」の取り組み状況が、後半では、航空・鉄道事故調査委員会が2007年に発表した「福知山線列車脱線事故の調査報告書」に関連する対応状況が記されている。
資料によると、現場社員の報告も取り入れた「リスクアセスメント」では、昨年4月から10月まででは約2万3200件の報告が集まった。これらをもとに、ホームの転落防止対策や特殊信号発光機の増設などを実施したという。2006年に同社が設置した「安全研究所」では、睡眠についての研究結果をもとにした「運転士のための眠気防止ガイドライン」を作成。眠気に関する自己チェックシートも含め、昨年12月に全乗務員に配布した。運転士の支援としては、GPSによる「運転士支援装置」の導入を開始。停車する駅の直前などで運転士に注意喚起を促す装置で、福知山線や奈良線から整備をおこなっている。
ダイヤが乱れた際などに、指令員から乗務員に番線変更などを伝達する「運転通告」では、これまでの無線交信での口頭による方法に代えて、運転士支援装置に情報を伝送するためのシステム開発を進めている。同社では、走行時の無線交信やメモが2007年に禁止されたことで、通告が完了するまでに時間がかかる傾向があり、ダイヤのスムーズな正常化に貢献することが期待される。