JR九州は21日、非電化区間を蓄電池で走行できる、交流型電車を開発すると発表した。交流電化方式での蓄電池電車は国内初の試みとなる。
新たに開発する蓄電池電車は、近郊型交流電車817系2両を改造し、交流電力を変換する装置と、リチウムイオンの大容量高電圧の蓄電池を搭載するもの。車両の新造ではなく、既存車両の改造とすることで、交流電化方式の設備、電車のパンタグラフやモーターなどを活用でき、コストが抑えられるのが特徴。電化区間では、架線からの電気で走行し、停車中に充電する。非電化区間では、蓄電池で走行し、ブレーキの回生エネルギーで充電する。同社によると1回の充電で約30キロ運行できるといい、実用化されれば、電化・非電化に制約されない運行が可能になる。
最高速度は、電化区間が時速120キロに対し、非電化区間は80キロ程度。JR九州管内の非電化区間を走る気動車キハ200系では最高時速110キロで、速度面で差はあるが、加速力は増すため、運転時分の短縮につながる。また、気動車に比べ、エネルギー効率が上がり、運行コストは下がると見込む。JR九州は、2012年4月に設計を開始し、2013年に走行試験を始める予定。
JR東日本では、直流電力を使った同様の蓄電池駆動電車システム「NE Train スマート電池くん」を2008年度から開発し、現在、試験走行を行っている。