JR東海は24日、列車位置を電気回路で検知し信号保安装置などを制御するための軌道回路設備について、東海道新幹線全線でデジタル化が完了すると発表した。1999年度から取り組んでいたもので、2013年11月末に工事が完了する。
軌道回路設備のデジタル化は、機械的なスイッチ(接点)をなくすことによる安定性向上、より多くの情報伝達が可能になることによる安全性・効率性の向上が主な利点。軌道回路設備の常時監視、総合指令所など遠隔からの故障内容の特定と処置も可能で、異常時の早期復旧が図れるとしている。現在のATC(自動列車制御装置)は、同デジタル化により2005年度に完成したもので、N700系車両の「車体傾斜システム」もこのATCシステムにより実現している。列車の車上装置もあわせて更新することで、ブレーキ制御の円滑化や乗り心地の改善にもつながっているという。
現在、同工事の最終段階として、変電所の切替用開閉器を制御する部分の工事が進んでおり、11月末に14か所の切替開閉器の工事が完了し、全ての軌道回路設備のデジタル化が完了する。地上設備の累積工事費は、約410億円に上るとしている。