JR東日本は4日、中央線特急用車両として、E353系を新造すると発表した。老朽化したE351系を取り替えるため、まず先行車を製造し、性能の評価や技術の検証を行う。
E353系の先行車の製造数は、基本編成9両と付属編成3両のあわせて12両。先頭部の形状は、成田エクスプレス用のE259系に近いイメージで、前面は黒を基調とした塗色にする。側面は白を基調に、薄紫色の帯と、前面からの黒を上部に配したデザインとし、「伝統の継承」と「未来への躍動」を表現。内装は、南アルプスと梓川の「きよらかさ」をテーマに、ビジネス面、レジャー面の両方で快適性を追求。一部先頭車とグリーン車に「動揺防止装置」を搭載して乗り心地を良くする。各車両には空気清浄機、防犯カメラを設置するほか、各座席には電源コンセントとパソコンが置けるテーブルを設ける。車内設備では、電動車いす対応の大型トイレ、フルカラータイプの車内案内表示器、LEDによる客室照明を採り入れる。最高速度は、時速130キロ。カーブを高速で通過するための車体傾斜については、「空気ばね式車体傾斜方式」を採用し、旧型E351系の「振り子式車体傾斜方式」と同等の走行性能が実現できるという。運用区間は、中央本線・篠ノ井線の東京~塩尻~松本間。12両編成時の定員は686人。E353系の量産先行車は2015年夏以降に完成する予定。
E351系は、カーブの多い中央本線用に開発された特急形電車で、1993年にデビュー。車両形式の前に、JR東日本の所属を示すアルファベット「E」を使った最初の車両でもある。