7月5日、「鉄道博物館」の新館がオープンします。これまでの本館の南に新たに建設された新館は、スペースの増加にとどまらず、本館の展示の再構成を含め、新たな鉄道博物館の幕開けとも言えます。6月26日にオープンに先駆けて開催された内覧会から、生まれ変わった鉄道博物館の魅力をお伝えします。
新館1階 仕事ステーション
新館に足を踏み入れると目に入るのが、新幹線E5系と400系の先頭車。ここは新館1階の「仕事ステーション」。「鉄道を支える仕事に挑戦して、プロフェッショナルになりきる『体験型ミュージアム』」がコンセプトで、運転士や車掌のみならず、保線や運輸指令など、さまざまな分野のスタッフが鉄道に関わることを学べるスペースです。
まずは気になる車両から。展示されるのは、東北新幹線のフラッグシップE5系と、初の新在直通用形式である400系。E5系はモックアップですが、保安装置や走り装置などを除いては実物同様の構造とのこと。製造も山口県の日立製作所笠戸事業所が担当しています。普段は車内非公開とのことですが、今回はグランクラスとなる客室部分のみ公開されました。
つづいて400系。こちらは実際に「つばさ」などで使用された本物。この411-3号車は、2010年の引退後、福島にて保存されていたということです。車体塗装はデビュー時のものに復元されています。こちらは開館後も客室部分は公開されるとのこと。運転室は通常非公開となります。
隣の展示に移りましょう。こちらの209系のモックアップは、車掌シミュレータ。ドア開閉や車内放送などの仕事体験ができます。体験料金は1回500円で、整理券制となります。
駅の仕事体験コーナーも。こちらでは、みどりの窓口や券売機でのきっぷの購入・発売を体験できます。
このほか、クイズ形式での指令シミュレーションや踏切安全設備体験など、表裏両面から鉄道を支える仕事の数々を体験できるゾーンとなっています。
新館2階 仕事ステーション
鉄道系の博物館で、車両展示と共に人気を集めるのが運転シミュレータ。新館の2階には、E5系のシミュレータをはじめ、計4台のシミュレータが設置。また、かつて本館に設置されていた運転士体験教室も、こちらに移設されています。
シミュレータの中でも目玉となるE5系新幹線のシミュレータ。実物そっくりの運転台で、最高時速320キロの運転を体感できます。映し出される映像は実写で、迫力の走行風景が視界を覆います。体験は1回500円で整理券制。所要時間は約15分で一日の定員も限られるとあり、開館直後は大人気となりそうです。
このほかにも、京浜東北線E233系、高崎線211系、山手線205系のシミュレータが設置されています。これらの体験料金は無料。列に並べば誰でも体験できます。
新館2階 未来ステーション
最新の研究により想像される未来の社会や鉄道を体験できる未来ステーション。ここでは、来館記念カードのQRコードで自分のアバターを作成し、今後30年前後に想定される未来を体感できます。
新館3階 歴史ステーション
この新館で、もっとも力が入っているのが、この歴史ステーションではないでしょうか。かつて本館2階にあった歴史展示を移設のうえパワーアップしたこのブース。鉄道開業以前から現代までの歴史を、技術や社会とともに学ぶことができます。
新館4階 ビューレストラン・トレインテラス
かつてエントランス付近にあったレストランは、新館最上階の4階に移転。こちらでは、目の前を通過する新幹線を眺めながら食事を楽しめます。料理への注目もお忘れなく。ベロネーズやハチクマライスなど、昭和のレシピを再現したメニューを始めとする数々が、我々の胃袋を満たしてくれます。
レストランに併設されたトレインテラスは、屋上から在来線を眺めることができるビュースポット。宇都宮線や高崎線、川越線の列車を眺めながら、ここでお弁当を食べるのもいいかもしれません。
新館屋外 てっぱくひろば
かつて設置されていたてっぱくひろばが、新館南側にリニューアルオープン。子ども向け遊具のほか、ミニはやぶさ号も。目の前を走る電車を見ながら遊べるスペースは、小さな子どもたちが喜びそうです。
また、本館と新館の間には、かつて上越新幹線などで活躍したE1系が、3月より展示。以前よりランチトレインとして設置されている183系も、リニューアルにあわせてお色直しされました。
本館 車両ステーション
ただ新館がオープンするだけではない鉄道博物館。本館にも手が加えられています。36両の実物車両が展示され、かつてヒストリーゾーンと呼ばれたブースは、車両ステーションへと名前を変更。車両の歴史・技術に特化した展示となりました。なお、これら本館のブースは、4月に展示が開始されています。