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東日本の特急から消滅 人気のスゴイカタイアイスとは

2019年3月20日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

2019年3月16日のダイヤ改正にあわせて、車内販売サービスを見直したJR東日本。「やまびこ」や特急「踊り子」などでは車内販売の営業を終了したほか、その他の列車でも、駅弁やデザート類の販売が取り止めとなりました。

このサービス見直しが発表された際、ネット上で最も注目されていたのが、デザート類の販売取り止めでした。特に、一部では熱狂的な人気を誇るアイスクリームがJR東日本管内の特急列車などから消えてしまうということに対し、多くの悲しむ声が上がっていました。

ネットを中心に絶大な人気をほこる車内販売のアイス。この正体は、スジャータめいらくの「プレミアムアイスクリーム」です。新幹線の車内販売にふさわしい高品質なバニラアイスにこだわって開発したという、同社創業者の日比孝吉氏の思いが詰まった製品です。

スジャータめいらくのプレミアムアイスクリーム
スジャータめいらくのプレミアムアイスクリーム

バニラ味の原料は、生乳や北海道産の生クリーム、砂糖、卵黄、バニラ香料のみを使用。安定剤などの添加剤などは使用していません。そのため、乳固形分が25.5%(うち無脂乳固形分が10.0%、乳脂肪分が15.5%)と濃厚な作り。厚生労働省が定めた、乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上という、「アイスクリーム」を名乗れる基準を大きく超えた、とても高品質な製品なのです。ちなみに、コンビニなどで見かける明治エッセルの「スーパーカップ 超バニラ」では、無脂乳固形分が8.5%となっており、アイスクリームやアイスミルクではなく「ラクトアイス」の扱いとなっています。

成分表示を見ると、品質にこだわって作られていることがわかります
成分表示を見ると、品質にこだわって作られていることがわかります

そして、車内販売で提供されるこのアイスの一番の特徴が、その硬さ。購入直後ではガチガチの状態で、スプーンが突き刺さらないほど。この硬さと、新幹線の車内販売で売られていることから、Twitter発祥で「シンカンセンスゴイカタイアイス(本来は半角)」という愛称まで付けられました。

この硬さの理由とは何でしょうか。一つは、車内での保管方法です。JR東日本管内での車内販売を担当している日本レストランエンタプライズによると、列車内での保管にはドライアイスを使用しているとのこと。徹底した温度管理を目的にドライアイスを使用するため、スーパーやコンビニのような冷凍庫での保管よりも硬くなっている、ということです。

二つ目の、そして一番の理由は、製法にありました。スジャータめいらくによると、「濃厚でしっとりとした食感にするため、アイスクリーム中に含まれる空気の量を抑えて密度を高めたため、一般的なアイスクリームよりも溶けにくくなっている」ということです。クオリティにこだわって開発した結果、溶けにくいアイスクリームが生まれたのでした。後述する駅以外での販売箇所でも、ドライアイスによる保管ではないにも関わらず、他のアイス製品よりも硬い状態で売られていることからも、そのクオリティがわかります。

ちなみにシンカンセンスゴイカタイアイスとは、サイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」に登場する「マルノウチ・スゴイタカイビル」が元ネタ。「『スゴイカタイ』ではなく『スゴクカタイ』でないと日本語としておかしい」という意見があるほか、「シンカンセン“ノ”スゴイカタイアイス」や「シンカンセン“モノスゴク”カタイアイス」などの亜種も見受けられますが、元ネタに準拠すれば、韻を踏んだ「スゴイカタイ」が正解のようです。

JR東日本の在来線特急などからは、2019年3月15日をもって取り扱いが終了となったプレミアムアイスクリーム。今後はどこで購入することができるのでしょうか。

まず、JR東海・西日本の路線である東海道・山陽新幹線では、3月16日以降も販売が継続されています。また、JR東日本区間を含む北陸新幹線「かがやき」「はくたか」でも、アイスクリームを含む従来の車内販売メニューが継続となっています。これはJR東日本によると、「金沢延伸開業から日が浅く、新設した設備が無駄となることを防ぐため」とのこと。また、「伊豆クレイル」や「リゾートしらかみ」といった、車内販売の営業がある「のってたのしい列車」でも、従来通りのサービスが継続されるということです。

写真の東海道・山陽新幹線のほか、北陸新幹線では、従来通りの販売が継続されています
写真の東海道・山陽新幹線のほか、北陸新幹線では、従来通りの販売が継続されています

また、列車に乗車せずともプレミアムアイスクリームを購入できる場所があります。その1つが、東海道新幹線東京駅18・19番ホームのうち、7号車付近にある売店「デリカステーション」。車内での販売時のようなガチガチの状態ではありませんが、それでも特徴的な硬さは健在。さらに、バニラや抹茶、いちごといった各種フレーバーを取りそろえています。駅売店ではこのほか、JR東海グループでは名古屋駅や新大阪駅などでも販売。JR東日本グループでも、東京駅の「駅弁屋 祭 グランスタ店」や新宿駅の「駅弁屋 頂」などで、3月16日のダイヤ改正後から販売が開始されました。

東京駅18・19番ホーム7号車付近の売店「デリカステーション」。プレミアムアイスクリームを取り扱っています
東京駅18・19番ホーム7号車付近の売店「デリカステーション」。プレミアムアイスクリームを取り扱っています

列車内や駅以外で販売されている箇所もあります。まずは埼玉県にある鉄道博物館。2018年7月にオープンした新館4階のビューレストラン・トレインテラスでは、3月16日以降もプレミアムアイスクリームが販売されます。また、名古屋のリニア・鉄道館でも、2階の売店、デリカステーションにて販売されています。

鉄道博物館では、これまで通りプレミアムアイスクリームが販売されています。写真の新館開館当時は、JR東日本エリア限定のりんごアイスも販売されていました
鉄道博物館では、これまで通りプレミアムアイスクリームが販売されています。写真の新館開館当時は、JR東日本エリア限定のりんごアイスも販売されていました

残念ながら、3月15日でJR東日本の在来線特急などからは消えてしまったプレミアムアイスクリーム。しかしながら、この濃厚な製品が販売終了となるわけではありません。東海道・山陽新幹線や北陸新幹線、「のってたのしい列車」に乗車した際は、ぜひ硬い状態、そして濃厚な味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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