代々木上原~綾瀬~北綾瀬間を結ぶ東京メトロ千代田線。小田急線、JR常磐緩行線と直通し、3社の線区をまたがる運転も行われています。綾瀬~北綾瀬間の一部列車と、特急車両を除き、千代田線内を走る車両はすべて10両編成。長編成と高頻度の運転で通勤、通学など多くの利用を支えています。
2019年3月16日、千代田線を走る10両編成の列車に、新たな展開がありました。千代田線の分岐線で、これまで同線内に限った形で3両編成の列車が往復していた綾瀬~北綾瀬間(約2.1キロ)に、10両編成の列車が入るようになったのです。また、千代田線と直通する小田急でも、10両編成の列車に新たな動きがありました。
北綾瀬駅のあらましと10両編成対応工事
北綾瀬駅は、1979年12月20日に開業しました。同駅は、綾瀬車両基地と綾瀬駅とを結ぶ車庫線の途中に設けられ、車庫線を旅客扱いすることで列車の運行が始まりました。
列車は綾瀬~北綾瀬間を往復する形態で運行され、編成は開業当初から3両でした。これは北綾瀬駅のホーム長にあわせたもので、綾瀬駅でもそれに応じた短い専用ホーム(0番線)が設けられました。北綾瀬駅を発着する列車の乗客は、綾瀬駅から先に向かう場合、0番線から別の番線への乗り換えが必須というのがこれまでの状況でした。
北綾瀬駅の利用者は1日あたり3万人前後と決して少なくありません。3両編成のピストン輸送ではラッシュ時間帯などでは混雑が起こり、綾瀬駅での乗り換えに便利な側の車両はさらに混雑度が増すという状況が長く続きました。そうした課題に対応するために浮上したのが、北綾瀬駅のホーム延伸と、代々木上原方面との直通列車の設定でした。同計画は、東京メトロの2013年度の事業計画で具体的に示された後、2015年に工事がスタート。2019年3月16日のダイヤ改正にあわせ、ホーム延伸部などが供用開始されるともに、綾瀬駅以遠に直通する10両編成の列車運行が始まりました。
北綾瀬駅のリニューアル
開業40年を迎える北綾瀬駅では、今回の10両編成対応を含め、駅全体でリニューアル工事が進んでいます。3月16日に供用を始めたのは、ホーム延伸部、延伸部に設置されたホームドア、南側出入口と同改札口、エレベーターなどです。従来からの北側の出入口は改良、改装が進んでいるほか、同出入口に面した環七通りをまたぐ連絡橋と、その連絡橋にアクセスする新しい出入口の整備も行われています。加えて、駅ビルや高架下店舗の新設、バリアフリー設備の増設などもなされ、全面的にリニューアルされます。工事の完了予定時期は、2020年12月です。
代々木上原~北綾瀬間の列車
3月16日のダイヤ改正では、綾瀬駅始発の列車の一部が北綾瀬駅始発に変更されました。対象本数は、朝7~8時台の13本のうち5本、日中時間帯は(1時間あたり)6本のうち3本です。また、綾瀬~代々木上原間の列車が増発され、その一部が北綾瀬駅行きになりました。増発分は、平日17~23時台の10往復、土曜・休日の16~21時台の9往復。その一部が北綾瀬~代々木上原間での運転です。
北綾瀬駅を発着する10両編成の列車は、北綾瀬~代々木上原間のほか、一部は小田急線に乗り入れています。小田急線内での種別は、急行、通勤準急、準急、各駅停車の4つ。行先は、本厚木、成城学園前、向ヶ丘遊園があり、平日では、伊勢原行き、唐木田行きも各1本設定されています。
小田急線各駅停車
10両編成の列車は、小田急電鉄でも動きがありました。新宿~代々木上原間を走る各駅停車はこれまで8両が限界でしたが、10両編成に対応するホームを代々木八幡駅に新たに設けたことで10両化が実現。3月16日より、同区間を走る各駅停車の一部が10両編成での運転を始めました。
あわせて、駅舎の橋上化も完成し、橋上部に設けられたコンコース、改札口などの供用が16日に始まりました。駅の南北を結ぶ自由通路も同日より供用。線路をまたぐ形で駅の西側を通る山手通りと直結する連絡通路も新たに設けられる予定で、その工事などが引き続き進められています。
10両編成に対応する工事は、開成駅でも行われ、3月16日以降、10両運転の急行列車が停車できるようになりました。小田急の今回のダイヤ改正では、通勤急行の全列車10両化も実施しています。