2019年5月1日から使用される新元号が、「令和(れいわ)」に決定しました。日本最古の和歌集である「万葉集」の第5巻、「梅花の歌三十二首并せて序」より取られたものということです。
この新元号を関する駅や列車など、ずばり令和を使用する鉄道関連のものは、4月1日現在ではないようです。一方で、はるか1300年前より残されている出典元の万葉集は、それから取られた名前を使用する鉄道路線が2つあります。
まず1つは、奈良県を走る桜井線。奈良駅と、大和高田市に所在する高田駅を結ぶローカル線です。かつての都、奈良を走る同線は、万葉集に読まれた地名・旧跡が点在する地域を通過します。これに加え、「すぐれた良い場所」などを表す「まほろば」と組み合わせたものとして「万葉まほろば線」が、2010年より桜井線の愛称として使用されています。
古都を走る万葉まほろば線では、かつて常磐線と営団地下鉄(当時)千代田線の直通列車に使用され、同線から退いた後に改造された105系が使用されています。中間車両から改造された比較的新しい顔を持つ車両のほか、常磐線での活躍当時に近い顔を残す車両もあり、後者はレトロさから鉄道ファンに人気の車両です。
この万葉まほろば線と直通運転する和歌山線では、2019年3月16日のダイヤ改正より、新型車両227系1000番台が導入されています。改正直後では桜井線では運用されていませんが、予定では2019年秋までに和歌山線のほか万葉線、紀勢本線(きのくに線)の旧型車両、105系や117系を全て置き換えるとのこと。令和元年に、万葉集が詠まれた地の路線でも大きな動きが生じることとなります。
そして、もう1つの万葉集に関連する鉄道路線が、富山県を走る万葉線。第三セクターの万葉線株式会社が運営する路線で、高岡駅~六渡寺間の高岡軌道線と、六渡寺~越ノ潟間を結ぶ新湊港線の2路線をあわせた愛称として使用されています。
万葉線の由来は、万葉集の編さんに関わった大伴家持が、越中国守として万葉線沿線の伏木に赴任した歴史によるもの。第三セクター移管前の事業者である加越能鉄道が、1980年に制定しました。
地方の路面電車といったおもむきの万葉線。同線では、単行運転となるデ7070形のほか、新世代の車両、MLRV1000形が使用されています。うちMLRV1000形の1両は、藤子・F・不二雄氏が沿線の高岡市出身であることにちなみ、「ドラえもん」のキャラクターを描いた「ドラえもんトラム」として運転されています。
約60年続いた激動の昭和につづき、約30年ながらも変化が激しかった平成もあと一か月。次なる元号、令和の時代は、どのような動きがあるのでしょうか。