東京メトロは7月5日、丸ノ内線のダイヤを改正しました。
今回のダイヤ改正で一番のポイントは、方南町駅への6両編成の乗り入れ開始。これまで朝夕の一部を除き、中野坂上~方南町間の分岐線(支線)は、この区間のみの折り返し運転がメインでした。しかし5日のダイヤ改正により、新宿・池袋方面から方南町駅への直通列車が設定。日中時間帯は1時間あたり3本が方南町駅発着となりました。
8年続いた工事が完了した方南町駅
丸ノ内線の支線となる中野坂上~方南町間は、中野富士見町駅付近に設けられた車両基地へアクセスするために建設された路線。1961年に中野坂上駅から中野富士見町駅までが開業し、翌1962年に方南町駅までの1駅が延伸。全線開業となりました。
この開業の経緯から、6両編成で運転される池袋~新宿~荻窪間の本線と異なり、支線は3両編成が基本。車両基地に出入りする車両を活用した6両編成の列車も設定されてはいましたが、これは朝夕のみの運転。さらに方南町駅は3両編成のみ対応の設備となっており、6両編成の入線はできませんでした。当然、両数の短い3両編成で池袋方面との直通運転もできず、これまでは3両編成の列車が中野坂上~方南町間を往復するダイヤが中心となっていました。
東京メトロでは、この支線の利便性を向上すべく、方南町駅の改良に踏み切りました。6両編成に対応するため、従来の駅設備を移転するなどの工事を実施。エレベーターの設置や多機能トイレの新設といったバリアフリー工事もあわせ、約8年にわたり駅設備の移転・改良を進めてきました。
この方南町駅の6両編成対応工事が終了したことにより、方南町~池袋方面の列車が設定可能になりました。東京メトロでは、方南町駅利用者の利便性向上のみならず、中野坂上駅での乗り換え待ちによる混雑の緩和や、同駅での乗り換えにともなう混雑の平準化、乗降時間の短縮による丸ノ内線全体の列車遅延抑止が見込まれるとしています。
改正後のダイヤは
それでは、今回のダイヤ改正で、丸ノ内線の運行形態はどのように変化したのでしょうか。
丸ノ内線の支線では、平日68本、土休日では43本の列車が6両編成となり、池袋方面への直通列車として運転されます。また、列車本数自体も見直しとなり、平日は36本、土休日は19本の列車が増発されます。
改正後の時刻表を見ると、方南町駅では日中時間帯に1時間あたり9本運転される列車のうち、3本が6両編成による池袋方面への直通列車となります。本線でも、これまで新宿駅発着で設定されていた列車の多くが、方南町駅発着へと運転区間を延長。日中時間帯では1時間あたり15本運転される列車のうち、同じく3本が方南町行きとして運転されます。
方南町、中野富士見町、中野新橋の3駅の利用者は、一部時間帯を除き乗り換えが必要だった池袋方面への移動が、日中時間帯でも乗り換え不要となります。また、池袋方面からの利用も同様です。さらに、東京都庁にほど近いオフィス街の駅、西新宿駅についても、従来より本数が増えたことで利便性が向上することになります。
一方で、先述したとおり、日中時間帯の方南町駅発着の列車は、これまで新宿駅発着で運転されていた列車を延長する形で設定されています。新宿駅始発の列車は、平日朝に5本、土休日朝に1本と大幅に減少したため、新宿駅から着席できる列車を狙っていた利用客にとっては、利便性の悪化とも受け取られそうです。
改正前日には式典を開催
ダイヤ改正に先立つ7月4日には、方南町駅の6両編成対応を記念した式典が開催されました。挨拶に登壇した東京メトロ 常務取締役 鉄道本部長の野焼計史さんは、「6両化によって駅周辺の開発や街の活性化がさらに進むことを期待する」と話していました。