徒歩で最寄り駅まで移動
緊急停止して約30分。「車両点検の結果、運転を再開するためには、相当な時間がかかることがわかりました」との車内放送。品川駅まで徒歩で移動するよう、乗客へ案内がありました。実際の営業列車でそんな放送がなされた際には、乗客のため息が漏れることでしょう。
日本語に続き、英語での放送も入りました。当日は英語も肉声で行われていました。JR東海によると、2019年3月から、乗務員が携帯するスマートフォンのアプリで英語放送ができるようになっており、英語による異常時の対応力が向上しているということです。
非常時には、たまたま乗り合わせているJR東海の社員も招集され、乗客の誘導対応にあたることになっています。当日は、線路を通って駆けつけた車両担当の係員も加わり、車内に負傷者がいる想定で、救出する対応がとられました。
ちなみに、JR東海の関係者向けの一斉放送はこのような情報内容でした。「輸送旅客指令から、のぞみ901号、車両点検その後についての情報です。東京~品川間を車両点検で行っていた、のぞみ901号は、全区間で運休となります。今後、ご乗車中にお客様には、係員の誘導により、品川駅まで徒歩で移動して頂きます。その後、のぞみ901号は、品川駅に収容する作業を行う計画です。そのため、運転再開には相当な時間を要する見込みです」。
負傷者の救出が終わると、非常用脱出はしごが設置され、一般乗客の降車が始まりました。はしごは、手すりがついており、手で支えながら線路まで降りられます。ただ、段差がやや大きいのに加え、少しぐらつく感じがありました。緊急時でも、一人ずつ、落ち着いて階段を降りることが必要と感じます。
深夜での訓練ということもあり、暗い中での線路脇の移動。途中には、レールや枕木、線路沿いのケーブルやそのカバーなど、つまづきやすい場所が点在しました。時間帯や天候、最寄り駅までの距離によっては、列車を降りて駅まで移動することに危険を伴う場合もありそうです。
JR東海は、今後もさまざまな訓練を実施し、安全・安定輸送の確保につとめていくとしています。内容は公表できないものの、セキュリティに関する訓練も多く実施しているとのことです。
乗車中に運転見合わせのような事態に遭遇した場合、乗客としては、訓練を積んだ乗務員の案内や指示に従うことが大切です。すぐに案内がなされなかったとしても、安全確保を優先する乗務員に対して、個別に問い合わせをするといった行動は控えたいもの。少し時間がかかっていたとしても、車内での案内放送を待ちましょう。
また、運転見合わせにより駅まで徒歩移動するとなれば、車両から線路に降りる際から、不安定な足場が続きます。周りをよく見て、落ち着いて行動することが大切です。