2020年1月、山手線から旧型車両「E231系」が引退しました。鉄道コムの調べでは、最後に乗客を乗せて走ったのは、1月20日のことでした。これをもって山手線の車両置き換えが終了し、今後は全て新型車両のE235系によって運転されます。
山手線用のE231系500番台は、2002年にデビューしました。それまで山手線で活躍していたのは、国鉄時代に投入が始まった205系。山手線にとっては、JR車両の投入は初めてのことでした。
先代の205系よりも車体幅が広くなり、混雑時の窮屈さが若干改善。1両のドアを4つから6つに増やした「6ドア車」も、205系の1両から2両に増えました。
そして、利用者視点で最も大きな変更点だったのは、ドア上に設置された液晶ディスプレイではないでしょうか。
今では都市部の車両では当たり前になった装備ですが、液晶ディスプレイで所要時間や駅階段位置などを案内し、そして映像広告を放映するのは、当時としては画期的なサービスでした。以前にもJRや私鉄などで細々と設置されていた例はありましたが、JRでこれを本格的に設置した車両は、この山手線用E231系が初めてでした。
10年以上活躍してきたE231系ですが、2015年にデビューした新型車両のE235系により、同年より置き換えが始まります。
E235系は、2015年にデビューした量産先行車に加え、2017年から2019年にかけて49編成が製造されました。新しい編成の営業運転開始と交代で、E231系は次々と山手線から引退。そして最後に残ったE231系のトウ506編成も、1月24日に改造のため車両工場へ入場し、山手線での営業運転を終了しました。
新型車両に置き換えられたE231系ですが、山手線からの引退後は他路線へと活躍の場を移しています。その路線は、三鷹~千葉間を走る中央・総武線各駅停車。黄緑から黄色へと帯を張り替え、搭載した機器も一部を更新した上で、新たな舞台で活躍しています。
これまで中央・総武線で走っていた車両は……というと、こちらは数本が残留するほかは、改造の上で他路線へと転属。武蔵野線や八高線、川越線などで、これまで活躍していた車両を置き換えています。このように、新車投入で捻出された車両で、さらに他路線の車両を置き換える方法を、「玉突き転配」などと呼ぶこともあります。
山手線のラインカラーは、ご存じ黄緑色です。正式には「黄緑6号」と呼ばれるこの色は、1963年に登場し、山手線に投入された103系が初採用したもの。以降、1985年にデビューした「2代目」205系、今回引退する「3代目」E231系、新型車両の「4代目」E235系と、山手線の歴代の車両に受け継がれています。
ついに引退を迎えた、3代目の「黄緑の山手線」。しかし、姿を変えて異動した先では、まだまだ活躍が続きそうです。