高速走行を支える手すり
細かい点では、乗務員扉の脇にある手すりが従来車よりも進化しています。
500系以前の車両では、扉の左右にオーソドックスな手すりが埋め込まれていました。700系ではこれに開閉式のカバーを付け、高速走行時に平滑化することで騒音と抵抗の軽減を図りました。この装備は、後に続くN700系やN700Sでも、改良されたものが採用されており、目立たない存在ながらも新幹線の高速走行を支えています。
無線設備も変化
無線設備も700系の前後で変わりました。
東海道新幹線開業時、指令室などと列車を結ぶ列車無線は、基地局から電波を飛ばす「空間波」を使用していました。しかしながら、空間波では遮蔽物や天候などの環境によって電波が安定しない課題がありました。1972年に一部が開業した山陽新幹線では、地上区間では空間波としたものの、トンネル区間では線路脇に漏洩同軸ケーブルを敷設した「LCX」方式を採用。続く東北・上越新幹線では全区間でLCXが採用され、東海道新幹線でも無線設備の更新にあわせ、1989年にLCXへと置き換えられました。
700系がデビューした当時は、東海道新幹線は全面的にLCXが採用されていたものの、山陽新幹線の地上区間では空間波のまま。そのため、ほとんどの700系には、1号車(博多方先頭車)の屋根上に、2つの空間波無線アンテナが設置されていました。
JR西日本は、山陽新幹線の無線システムを2004年に更新し、LCXに統一しました。そのため、これ以降に製造された700系の数本と、N700系、N700Sの各形式では、1号車の屋根は空間波無線を設置しないフラットなものとなっています。
ちなみに、LCXアンテナは1号車の床下に設置されていますが、現在活躍する車両は全て床下カバーがあるため、直接見ることはできません。