そして次の活躍の地へ
京浜東北線を主体に活躍していた209系ですが、製造当初に想定されていた「13年」が経過し、次第に老朽化・陳腐化が目立つようになります。JR東日本は、209系量産車のデビューから約13年が経過した2006年9月、京浜東北線へのE233系投入を発表。翌2007年に置き換えが始まりました。
当初投入された京浜東北線を追われることとなった209系。しかし、開発時の想定にあったように、機器更新をすることで新たな路線で活躍することとなりました。転用先となったのは、内房線や外房線、総武本線など、千葉県のローカル線。10両編成から6両編成と4両編成に組み替えられた京浜東北線の209系は、810両のうち324両が2000番台・2100番台として、千葉へと活躍の地を移しました。他にも、南武線の車両置き換えや増発のため、6両編成3本が機器更新の上で中原電車区へと転属しています。
事業用車両に転用された編成もあります。クハ209-2以下の編成は、在来線用試験電車「MUE-Train」に改造されました。車体傾斜装置や地上設備のモニタリング装置、E235系で採用される伝送システム「INTEROS」などの新技術を実証するために用いる車両で、現在も試験走行を繰り返しています。また、車籍の無い「機械」扱いではありますが、2両編成4本の訓練車が改造により登場し、新秋津駅や久里浜駅などで乗務員の訓練などに使用されています。
一方、中央・総武緩行線に投入された500番台は、一部は流浪の経歴をたどることとなります。京浜東北線0番台の改造工事や検査に備えるため、2000年から2003年にかけて計5本が京浜東北線用として転属しました。京浜東北線用E233系の投入によってこれらは置き換えられましたが、うち4本は京葉線へ転属。さらに3本は8両編成化の上で武蔵野線へと転属しました。中央・総武緩行線に残存した編成も、山手線から転属したE231系500番台によって置き換えが開始され、2019年までにすべて撤退。現在は10両編成1本が京葉線で、8両編成10本が武蔵野線で、そして、4両編成5本が川越・八高線用の3500番台として活躍しています。
1000番台は、2018年に常磐緩行線用から撤退。そのまま機器更新を受けることなく、中央快速線用として豊田車両センターへ転属しました。E233系のグリーン車組み込み改造による予備車が必要になったための措置で、2019年に同線での営業運転を開始しています。
南武線で活躍した209系は、E233系の投入によって2017年までに置き換えられましたが、このうち6両編成1本は、自転車を積載できる「BOSO BICYCLE BASE(B.B.BASE)」に改造されました。始発駅の両国駅などでは自転車を分解せずに車両へ積載できるというもので、2018年以降、内房線、外房線、総武本線、成田線などで運行されています。
209系、まもなく終焉?
京浜東北線や房総各線で活躍してきた209系ですが、まもなく「13年」の倍となる落成26年を迎える編成が表れる時期となります。機器のみならず車体の老朽化も進みつつある時期で、その将来が気になる頃合いです。
2000・2100番台と同じ房総エリアを走り、同時期に機器更新を受けたE217系は、2020年度以降にE235系へ置き換えられる計画が発表されています。
また、川越・八高線で活躍してきた3000番台は、機器更新を受けることなく、全編成が運用を離脱。中央快速線用として転属した1000番台も、E233系へのグリーン車組み込みが順調に実施されれば、グリーン車の営業開始となる2023年度末までには引退することが考えられます。
現時点で2000・2100番台の置き換え計画は発表されていませんが、その活躍は長くはないのかもしれません。