夏の東北路、想い出の車両
1990年の夏、東北各県では国鉄時代から活躍を続ける車両をどこでも目にすることができました。国鉄色の気動車、特急形電車はもちろん、奥羽本線全線を走破する長距離鈍行列車では、国鉄客車オハフ50形が使われるなど、希少な運用もありました。東北新幹線は盛岡止まりで、山形新幹線も開業前。在来線では、特急や急行が頻繁に走っていましたが、普通列車、快速列車でも東北路を延々と旅することができたのでした。
太平洋沿岸では、八戸線、北リアス線、山田線、南リアス線、大船渡線、気仙沼線が北から南を結び、いずれも気動車が走っていました。八戸~気仙沼間では、JRと三陸鉄道を交互に乗り換える形になりますが、久慈~盛間などの直通運用もあり、列車を選べば円滑な移動が可能。種別や車両のバリエーションも豊富でした。大船渡線、気仙沼線の一部区間において鉄道事業が廃止となった今、太平洋沿岸の長距離鉄道旅行は何とも贅沢に思えます。