鉄道コム

30年前の鉄道

C62ニセコ号、フラノエクスプレスの夏~平成2年の鉄道風景(北海道編)

2020年5月30日(土) 鉄道コムスタッフ 冨田行一

懐かしの特急、快速列車

1990年8月当時のJR北海道管内での特急用車両は、キハ183系、781系の2形式でした。定期列車も5種類と限られ、キハ183系が「北斗」(札幌~函館間)、「おおぞら」(札幌~釧路間)、「オホーツク」(札幌~網走間)、781系が「ホワイトアロー」(旭川~苫小牧間)、「ライラック」(旭川~東室蘭間)でそれぞれ運用。翌9月のダイヤ改正では、札幌~旭川間の特急「スーパーホワイトアロー」新設にあわせて785系が投入され、3形式に増えました。その後、781系は2007年までに全車が廃車に。当時新鋭だった785系は、30年を経て2編成を残すのみとなりました。

大沼公園駅入線中の「北斗」3号。当時はキハ183系500・1500番台が道内の長距離移動を支えていました
大沼公園駅入線中の「北斗」3号。当時はキハ183系500・1500番台が道内の長距離移動を支えていました
キハ183系「おおぞら」(釧路駅9時発の6号)。次の停車駅は帯広駅で、約100分間ノンストップでした
キハ183系「おおぞら」(釧路駅9時発の6号)。次の停車駅は帯広駅で、約100分間ノンストップでした

長距離を走る列車としては、快速「海峡」もありました。青函トンネルを経由する定期列車で、青森~函館間8往復が設定。筆者は海峡9号に乗り、吉岡海底駅まで乗車。同駅を見学後、今度は11号で函館に向かいました。海底駅の見学も今では過去の話となりました。

函館駅到着後の「海峡」。編成は、ED79形+50系客車でした
函館駅到着後の「海峡」。編成は、ED79形+50系客車でした
「海峡」乗車時のきっぷ、指定席券など。青函トンネル、海底駅などの解説やオレンジカード収納ケースがついた「青函トンネル体験証明書」の配布もありました
「海峡」乗車時のきっぷ、指定席券など。青函トンネル、海底駅などの解説やオレンジカード収納ケースがついた「青函トンネル体験証明書」の配布もありました

札幌近郊で定期運転していた快速列車としては、「マリンライナー」や「空港ライナー」がありました。8月の旅で乗ったのは、711系のマリンライナー。国鉄形の電車に揺られながら眺める石狩湾の光景は格別でした。

その後、北海道における列車名としてのマリンライナーは、2000年に廃止。711系も2015年に引退しました。

小樽駅で発車を待つマリンライナー。長方形と台形を組み合わせた形状のヘッドマークが目をひきます。同様の形のヘッドマークは、空港ライナー、いしかりライナーなどにも装着されていました
小樽駅で発車を待つマリンライナー。長方形と台形を組み合わせた形状のヘッドマークが目をひきます。同様の形のヘッドマークは、空港ライナー、いしかりライナーなどにも装着されていました

新鋭車両と国鉄時代からの車両

一般形電車では、711系のほかに1988年に登場した721系も札幌近郊で走っていました。当時の北海道で電車が運用されていたのは、JRでは津軽海峡線のほか、小樽~旭川間、白石~苫小牧~室蘭間に限られていたため、道内の大部分は気動車が主流。一般車両では国鉄時代からのキハ40系が主体で、路線によってはキハ54系の姿もありました。

札幌駅停車中の721系。JR発足後の新造車両で、都市間輸送を支えるニューフェイスという印象を受けました
札幌駅停車中の721系。JR発足後の新造車両で、都市間輸送を支えるニューフェイスという印象を受けました
今となっては懐かしい「朱色5号」のキハ40系(黒松内駅で撮影)。定期優等列車の運転がなかった函館本線の峠越え区間(長万部~小樽間)では、こうした気動車が力強く走っていました
今となっては懐かしい「朱色5号」のキハ40系(黒松内駅で撮影)。定期優等列車の運転がなかった函館本線の峠越え区間(長万部~小樽間)では、こうした気動車が力強く走っていました
上富良野駅発車後のキハ54系。北海道のキハ54系は寒冷地仕様になっており、500番台が割り当てられています。同番台は全29両が製造されました
上富良野駅発車後のキハ54系。北海道のキハ54系は寒冷地仕様になっており、500番台が割り当てられています。同番台は全29両が製造されました

急行列車での運用を主体とした車両では、キハ56系も当時は現役。筆者は釧網本線の普通列車と急行「狩勝」で乗車しました。狩勝が急行列車として走ったのは8月まで。この時はあまり意識していませんでしたが、結果的に乗り納めの形になりました。

道内を走る定期急行列車は「はまなす」が最後。2016年、同列車の引退とともに、JRから種別としての急行も姿を消しました。

釧網本線を走るキハ56系。急行色ですが、普通列車でも運用されていました。写真は、網走行きの上り列車(釧路湿原駅6時35分発)
釧網本線を走るキハ56系。急行色ですが、普通列車でも運用されていました。写真は、網走行きの上り列車(釧路湿原駅6時35分発)

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