大量増備の中の変わり種
計52本502両が製造されたE2系。このうち、0番台のN1・N21編成、1000番台のJ51編成は、それぞれ量産先行試作車として製造された変わり種の編成でした。
0番台の量産先行試作車は、N1編成が長野新幹線用の、N21編成が東北新幹線用の試作車。前者がS6編成として、後者がS7編成として製造されました。大まかなデザインは量産車と同じですが、先頭部が量産車よりも鋭い流線形となっているのが特徴となっていました。
S6編成とS7編成は、量産車の登場後、それぞれN1編成とJ1編成に改番。量産車と共通の運用に就いていました。J1編成は1000番台登場後、10両編成化が見送られ、長野新幹線用に転用。N21編成に改番されました。東北新幹線用として製造されたため、長野新幹線では不要な自動分割併合装置を装備していたことも、N21編成の特徴となっていました。
1000番台の量産先行試作車となるJ51編成は、J52編成以降とは異なり、8両編成で製造。さらに、他の編成では盛岡方先頭車のみに設置されていた自動分割併合装置が、東京方先頭車にも設置されていました。これは、E2系8両編成を2本連結した16両編成で「はやて」を運転することを想定していたため。しかしながらこの構想は見送られ、J51編成も後に量産車と同様に10両編成となりました。
これらの変わり種な編成は、N編成の2本が2013年から2014年にかけて廃車。J51編成も2019年に廃車されており、現在は見ることができません。
置き換えられつつもまだまだ現役
東北新幹線と長野新幹線の主力車両として活躍してきたE2系ですが、後継車両の登場によって、次第に第一線を退いていきます。
東北新幹線においては、新青森開業翌年の2011年3月、E5系によって時速300キロ(現在は時速320キロ)で走る「はやぶさ」が運転を開始。時速275キロで運転する「はやて」を置き換える形で次第に設定本数が増加していき、E2系は速達列車の運用から追いやられます。2013年3月のダイヤ改正では、新青森駅発着の定期「はやて」運用から撤退。2019年3月のダイヤ改正で、E2系は「はやて」の運用と仙台以北での定期運用を喪失しました。
長野新幹線用に投入されたN編成は、北陸新幹線金沢開業を見据えて投入されたE7系によって、2014年から置き換えが進められていきました。2015年の金沢開業後も長野駅発着の一部「あさま」で使用されていましたが、金沢開業後も投入が進むE7系によって順次置き換えられ、2016年3月をもって引退。デビュー当時の外観を残すE2系は消滅しました。
東北新幹線用のJ編成でも、運用減少にあわせ、初期に投入された車両の廃車が進められました。2013年に廃車されたJ2編成を皮切りに、J編成の0番台は順次引退。2019年をもって、E2系の0番台は全て消滅しました。
一方、2012年3月のダイヤ改正においては、E4系の運用を置き換える形で、「つばさ」と連結して運転する「やまびこ」への充当が始まりました。東京~福島間ではE2系とE3系が連結する17両編成として運転されており、E5系・E6系による「はやぶさ」「こまち」と並び、国内営業列車での最長編成記録となっています。
また、東北新幹線から撤退したE2系の一部は、上越新幹線へと活躍の場を移しました。2020年4月現在は、残存する1000番台24本のうち、11本が新潟新幹線車両センターに所属しています。
かつて東北・長野新幹線のフラッグシップ車両として登場したE2系。北陸新幹線からは既に撤退し、東北新幹線でも主力の座は降りましたが、「やまびこ」「なすの」といった短・中距離輸送列車、そして上越新幹線の「とき」「たにがわ」で、まだまだ活躍が続きます。