新型コロナウイルスの感染終息は見通せない中ではありますが、移動の自粛ムードも緩和されつつあり、7月22日からは「Go To Travel キャンペーン」も始まる予定です。これまで旅行を自粛していた分、夏から秋にかけて遠出するぞ!という方も多いのではないでしょうか。
ところで、東海道・山陽・九州新幹線では5月20日に、車内への「特大荷物」の持ち込みに事前予約が必要となる制度「baggage160」が始まっています。それまでは予約なく持ち込めていたスーツケースが、今では事前予約が必須になっているかもしれません。
ふたたび旅行に出られるようになった今、あらためて特大荷物の持ち込みに関するルールをおさらいしましょう。
「特大荷物」のサイズは?
事前の予約が必要となる特大荷物のサイズは、荷物の3辺の合計(縦+横+幅)が、160センチを超え250センチ以内となるもの。これは、ANAなどが運航する国際線航空便において、有料で受け付ける預け手荷物のサイズに相当します(航空会社によって異なります)。なお、3辺合計が250センチを超える荷物は、5月19日以前と変わらず車内への持ち込みは禁止されています。
特大荷物扱いとならないギリギリのスーツケースは、概ね1週間程度の旅行を想定した、容量100リットル前後のもの(製品によって異なります)。これは主に海外旅行で使われるサイズです。国内旅行者の場合は、お盆や年末年始に1週間近く帰省するといった、長期の旅行でない限り、気にする必要はなさそうです。
また、3辺の合計が160センチを超えるものであっても、自転車などのスポーツ用品や、コントラバスなどの楽器類、スキー板、車いす、ベビーカーなどは、事前の予約は不要。ただし、これらの荷物を置くために特大荷物スペースを利用する場合には、事前の予約が必要となります。
なお、東海道新幹線の各駅改札口付近には、手荷物のサイズを確認できる測定台が設置されています。サイズが不安な方は、乗車前に確認されてはいかがでしょうか。
どこがスペースに?
特大荷物を置くためのスペースは、2020年現在は一部指定席車両のうち、進行方向に対する最後部座席の後ろに設置されています。該当する車両の最後部座席は「特大荷物スペースつき座席」としてきっぷが発売され、この座席を予約した利用者が特大荷物スペースを使用できるようになっています。
特大荷物スペースは、グリーン車は各列車とも全車両の最後部が該当。普通車は、一部車両の指定席のみに限られます。
その他の車両では、最後部座席後ろのスペースは特大荷物スペースとしては運用されません。しかし、「荷物が置かれているせいでリクライニングができない」などの苦情があったことを踏まえ、最後部座席に着席する利用者が、このスペースを原則的に利用できるルールに。他の座席に着席する利用者がこのスペースを使用することは、原則としてできません。
スペースの設置数は、「のぞみ」が1列車あたり42席、東海道新幹線の「ひかり」が32席、同「こだま」が22席(普通車指定席が3両の場合)。山陽・九州新幹線では、「みずほ」「さくら」とN700系8両編成による「ひかり」が12席、「ひかりレールスター」とN700系8両編成による「こだま」が8席、700系・500系「こだま」が4席、800系による「さくら」「つばめ」が2席または4席です。
東海道新幹線においては、特大荷物スペースが設置されない普通車全車自由席の「こだま」では、普通車に特大荷物を持ち込むことはできません。一方、山陽・九州新幹線で全車自由席として運転される「こだま」「つばめ」では、事前予約なく特大荷物を持ち込めるようになっており、JR東海とJR西日本・JR九州でルールがわかれています。
なお、JR3社では、最後尾座席後ろのスペース以外にも、デッキ部に特大荷物スペースを設置する工事を進行中。新造車両の投入や既存車両の改造によって、2023年度からこのスペースの供用を開始する予定です。
スペースの予約方法は?
特大荷物スペースの予約方法は、通常の指定席の予約と同じ。「エクスプレス予約」「スマートEX」「e5489」「JR九州インターネット列車予約」といったネット予約サイトのほか、駅に設置された指定席券売機、駅の窓口で、指定席の購入と同時に予約できます。指定席を予約できるきっぷであれば、原則として特大荷物スペースも利用可能です。
なお、事前にスペースを予約した場合は、追加料金は不要。通常の指定席と同じ料金で、特大荷物スペースを利用できます。
乗車当日に特大荷物に該当することがわかった場合、どうすればいいのでしょうか。JR九州では、改札口を通過する前に、特大荷物スペースつきの座席へ予約を変更するよう告知しています。空席がある場合に限られる手段ではありますが、当日でも乗車前であれば追加料金は不要です。
予約なく特大荷物スペースを使用する場合には、「持込手数料」として1000円の追加料金が必要になってしまいます。収納場所も、乗務員が指定する空きスペースとなるため、予約している座席と離れた場所になる可能性も。特大荷物や、それに該当する恐れのある荷物を持ち運ぶ場合には、事前に予約するようにしましょう。
なお、特大荷物に該当しないサイズの荷物の持ち込みや、ベビーカー、車いすなどを使用する場合でも、特大荷物スペースの予約は可能です。座席上の荷物棚に載せられない、載せるのが困難な手荷物を持ち運ぶ場合でも、特大荷物スペースを予約すれば安心です。