埼玉県の和光市と東京都の新木場を結ぶ、東京メトロ有楽町線。この路線の開業時に、東京メトロの前身である帝都高速度交通営団(営団地下鉄)が導入したのが、営団7000系です。
都心を貫く8番目の地下鉄として建設された有楽町線は、1974年に池袋~銀座一丁目間が開業しました。この有楽町線用車両として開発された7000系は、1968年に登場した、千代田線用の6000系を基にした車両として設計されました。
7000系の車体は6000系と同じアルミ製。車両正面の貫通扉上に設置した種別表示器など、外観上の相違点はわずかです。正面左側に非常用貫通扉を配置し、貫通扉の内側に車両脱出時用のステップを配置する設計も引き継いでいます。
車体の帯色は、有楽町線のラインカラーであるゴールドに近い黄色を採用。床下機器では、6000系の電機子チョッパ制御装置を進化させたAVFチョッパ制御装置を搭載しました。
有楽町線開業時には5両編成で登場した7000系ですが、1983年の営団成増駅(現:地下鉄成増駅)延伸開業時に投入された編成からは、10両編成で製造。5両編成で製造された編成も、中間車を組み込み10両編成化されました。また、側面の窓は登場時は2段窓でしたが、1983年以降製造の編成では1段下降窓となりました。
有楽町線の開業・延伸にあわせて編成数を増やしてきた7000系は、1989年に最終編成が登場。34編成340両の陣容となりました。
投入された7000系は、有楽町線和光市~新木場間のほか、1994年に開業した有楽町線新線小竹向原~新線池袋間(現在の副都心線の一部)、さらには相互直通運転先の東武東上線、西武池袋線、西武有楽町線と、幅広い路線で運用されています。
また、1994年からは、初期の車両から更新工事が開始されました。車内の化粧板や床面が交換されたほか、2段窓だった車両は1段下降窓に。さらに1997年からは制御装置のVVVFインバータ制御化も一部で実施されました。6000系との相違点の一つであった前面の種別表示器は、この更新工事に前後して実施された行先表示器のLED化にあわせて機能を停止しています。
7000系に転機が訪れたのは、2008年の副都心線開業のタイミングです。
副都心線開業直前の有楽町線では、全列車が10両編成での運転となっており、当初は5両編成で製造された7000系も、この時点では全編成が10両編成でした。
一方の副都心線では、2013年に直通運転を開始する東急東横線が、直通後も一部列車が8両編成となる関係で、副都心線開業時から一部の列車が8両編成で運転されることとなっていました。
また、有楽町線では運転士と車掌が乗務するツーマン運転となっていますが、副都心線は運転士のみのワンマン運転。これに対応するためには、運転席にドアスイッチなどを設置する必要がありました。
そのため、7000系は副都心線開業を前に、34本中15本が10両編成から8両編成に短縮。この15本と10両編成で残存する6本は、副都心線に対応する工事が施行されました。
これまで黄色単色だった帯は、副都心線のブラウンと有楽町線のゴールド、ホワイトの3色に。車内にはLEDによる扉上の案内表示器が設置されました。運転席は大幅に更新され、新型車両に準じたものに。ワンマン運転に対応した機器が設置され、ATO(自動列車運転装置)も搭載されました。
また、かねてより進められてきた制御装置の更新も、副都心線対応編成は全て実施。これらは全てVVVFインバータ制御装置を搭載した車両となりました。
一方、副都心線対応改造工事を受けなかった10両編成13本は、副都心線開業用として製造された10000系によって、置き換えられることとなりました。これらは2010年4月までに全車廃車となり、登場時からの黄色帯を纏った編成は消滅しました。
副都心線対応改造を受けた編成は、2008年6月の副都心線全線開業時より、同線での運用を開始。2013年3月に副都心線と東急東横線の相互直通運転が始まった後は、東横線や横浜高速鉄道みなとみらい線へも乗り入れ、神奈川県まで顔を出しています。
なお、副都心線と東横線の直通運転開始に先立っては、7000系の1編成が、2012年より東横線での運用に就いていたこともありました。
40年を超えて活躍してきた7000系ですが、間もなく本格的な置き換えが始まります。
東京メトロは2019年、7000系の置き換えを目的とした17000系を、2020年度より導入すると発表しました。導入本数は残存する7000系と同じ21本。2022年度までに全編成を導入するということで、7000系の活躍はあと2年ほどとなってしまいました。
東京メトロの車両としては引退までのカウントダウンが始まっている7000系ですが、国外ではまだまだ活躍が続きそうです。
副都心線の開業に前後して廃車となった編成のうち、10両編成4本は、インドネシアのKRLジャボタベックに譲渡されました。インドネシアでは8両編成の運行となっており、また1編成が事故で廃車となりましたが、残る3本24両は今でも現役。7000系の基となった6000系も同社へ譲渡されており、同一のスタイルを持つ車両の競演が見られます。