JR東日本秋田支社は9月4日、秋田・青森エリアに投入する「GV-E400系」を、報道陣に公開しました。
GV-E400系は、ディーゼルエンジンで発電し、モーターを回して走る「電気式気動車」。同形式は、2019年に新潟エリアで営業運転を開始していますが、秋田・青森エリアでは初の導入となります。
電気式気動車は、エンジンの出力をそのまま走り装置に伝えるのではなく、出力を電気に変換し、モーターを回します。一見、非効率的にも見えるこの仕組みですが、エンジン回転数を効率的な領域に抑えられること、発電器から先の機器構成を電車と同じ仕組みにできることなどで、環境性能や燃費の向上、メンテナンスコストの削減に繋げることができます。
秋田支社によると、現在使用しているキハ40系では、1リットルあたり1キロ未満という燃費性能ですが、GV-E400系では1リットルあたり約1.4キロと、大幅に向上したといいます。また、エンジンそのものの性能も向上しており、従来型気動車のキハ110系(秋田・青森エリアでは未導入)との比較では、エンジン単体で窒素酸化物(NOx)は約6割減、黒煙などの粒状物質(PM)は約8割減となっているということです。
新たに秋田・青森エリアに投入するGV-E400系は、基本的な設計は新潟エリアの車両と同じ。車体の帯色は、五能線の海をイメージした青のグラデーションとなっています。
今回公開された車両は、2両編成を組むGV-E401形とGV-E402形。いずれも片運転台車で、前者がトイレ付き、後者がトイレ無しの車両となります。秋田支社ではこのほか、両運転台・トイレ付き車両のGV-E400形も導入する予定です。
なお、秋田・青森エリア用車両では、津軽線内の無線不感地帯対策として、屋根上に衛星電話アンテナが搭載されています。
車内は、一部に2+1列のクロスシートを配置した座席配置で、こちらも新潟エリア用車両と同じ。座席モケットは、外観と同じく五能線の海をイメージしたものに。天井や座席袖仕切りは、白神山地のブナをイメージした木目調デザインとなっています。
運転台は、同社の新系列電車と同じ、左手ワンハンドルマスコンタイプ。加速時の手動での変速操作や、調整が難しい自動空気ブレーキの操作が不要となるため、運転操作は大幅に簡便化されるといいます。
なお、車両の運転に必要な免許については、現在は「内燃車」、すなわちディーゼル車の運転免許保有者のみが対象となっているということです。ただし、電気式気動車では、運転操作やモーターなどの機器構成が電車と同じため、「電気車」の免許保有者でも理論上は運転が可能。JR東日本では現在、電車の免許を持つ乗務員に対しても、エンジンに関する教育を受けた上で、電気式気動車に乗務できる制度を取り入れる準備を進めているということです。
GV-E400系は、2020年冬に営業運転を開始する予定。導入完了時期は未定ですが、両運転台車のGV-E400形が11両、2両編成のGV-E401形・GV-E402形が6編成12両、あわせて23両が最終的に投入されます。
秋田支社では、GV-E400系のほか、男鹿線用車両として、蓄電池車両のEV-E801系1本を2017年に営業運転に投入しており、今後こちらも本格投入する予定。五能線や奥羽本線、津軽線にはGV-E400系を、男鹿線にはEV-E801系を投入することで、従来のキハ40系を置き換えていくということです。