10月14日に発表された、ニコンの新型ミラーレスカメラ「ニコン Z 6II」。2018年に発表された「NIKON Z 6」(以降「先代機」)の後継機で、さまざまな部分が改良されています。
同時発表された「Z 7II」は、有効画素数4575万画素のハイエンドモデル。一方のZ 6IIは、有効画素数2450万画素ながら、最大連写枚数が秒間14コマ、常用ISO感度が最大51200という性能を持つミドルレンジモデル。4000万画素クラスの性能はいらないけれど、連写性能や暗所性能は追求したい、という方に適したカメラです。
「Zは、新境地へ。」としてニコンが売り出す新しいミラーレスカメラ、Z 6II。編集部でお借りした機材によるレビューをご覧ください。
なお、ここで使用した機材はベータ版のため、製品版と異なる写りの可能性があることをおことわりします。
Z 6IIの売りの1つである連写性能。秒間最大14コマというスペックで、鉄道撮影では大いに役立ちます。
Z 7IIとZ 6IIは、近年普及が進む新規格のメモリーカード「CFexpress」(Type B)に対応。CFexpressは、読み取り速度が1700MB/秒前後、書き込み速度は1400MB/秒前後という高い性能を持ち、最大でも読み取り・書き込み速度が共に300MB/秒となっている現在のSDカード(UHS-II)よりも大幅に転送速度が向上しています。そのため、連続でデータを書き込む必要がある連写時にも、CFexperssでは途中で息切れしづらくなっています。
なお、メモリーカードスロットはダブルスロットとなっており、CFexpressカードのほか、従来のSDカードも使用できます。
小田急線の車両を流し撮り。コンパクトながら保持しやすいカメラなので、流し撮りのように大きくカメラを振り回す際にもストレスを覚えません。
ちなみに、上記の写真の絞り値はF22。本来はここまで大きく絞ると、光の回折現象によりシャープさが失われてしまいます。しかしながら、Z 6IIでは回折補正機能を搭載しているため、ある程度は画質の低下を補正してくれます。
ニコンのカメラでは先代機より搭載されている機能であり、Z 6II特有のメリットではありませんが、NDフィルターが無い状況でも大きく絞れることができるのは大きな利点です。
そのまま夕暮れ時の小田原駅へ。狙うのは通過線を走る「のぞみ」。高速で通過する列車、しかも暗くなる時間帯というハードな条件ですが、Z 6IIは期待以上の性能を見せてくれました。
高速で通過する「のぞみ」を撮影。AFはほぼ全域で車両に追従してくれました。
「のぞみ」を待避し、出発する「こだま」を、あえて常用最大感度のISO51200で撮影。さすがに拡大すると荒さが目立ちますが、一昔前のカメラよりはかなり改善された印象があります。
Zシリーズの標準レンズである「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」と組み合わせて撮影。このレンズには手ブレ補正機能がありませんが、Z 7・Z 6シリーズでは5.0段のボディ内手ブレ補正ユニットを搭載。この1/6秒で撮影した写真のように、シャッタースピードを遅く設定した場合でも、ブレない写真を撮ることができます。
Zシリーズ登場から2年の時を経て、先代機よりもブラッシュアップされたZ 6II。スペックシートを見る限りでは、先代機との差はそれほど大きくない印象を受けますが、実際に触るとその性能差は十分。先代機よりも着実に進化していることがわかります。
特に驚いたのが、小田原駅での新幹線の撮影時。先述したように、暗い時間に高速で動く被写体を狙うという、なかなかハードな条件だったのですが、Z 6IIは期待以上の性能を見せてくれました。
同じ小田原駅で、発表された直後のZ 7での撮影を試した際には、ピントを外す割合が多く、「こんなものか……」という印象を受けていました。しかしながら、今回のZ 6IIは、先代機の発売後にも続いていたAFアルゴリズムの改良に加え、画像処理センサーの処理性能向上もあってか、大幅にAF性能がアップ。個人的には、ニコンのデジタル一眼レフ製品と同等ではないかという印象を持ちました。
鉄道や航空機などの動くものに対しては、ミラーレスカメラは従来の一眼レフに劣ると言われています。しかしながら、近年のカメラメーカー各社では、一眼レフに劣ると言われていたAFに関して、高い性能を持つモデルを多数投入。ニコンも今回のZ 7II・Z 6IIで一眼レフと遜色ない性能を達成しており、これなら一眼レフから乗り換えて良いのではないかと思わせてくれます。
ニコンのカメラ製品において、新しい境地を切り開いたZ 7IIとZ 6II。特に暗所性能や連写性能に優れるZ 6IIは、鉄道撮影にうってつけです。進化したニコンのミラーレスカメラ、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。