鉄道貨物の拠点、東京貨物ターミナル駅
JERAの大井火力発電所の横を通ると、大汐線は東京貨物ターミナル駅に至り、着発線を西側に分岐していきます。
東京貨物ターミナル駅は、その名の通り、東海道本線の東京側における貨物ターミナル駅。貨物列車からコンテナを積み下ろしするコンテナホームが5面、荷役線が10線、コンテナを積み終えた列車が発車を待ち、あるいは駅に到着した貨物列車が最初に入線するための着発線が10線、さらに留置線や検修線と、大規模な設備を有する日本有数の貨物駅です。
現在、JR貨物が使用しているのは、東海道新幹線の大井車両基地に接する西側のエリアです。一方、JR東日本が建設する羽田空港アクセス線は、東京貨物ターミナル駅の着発線とは少し離れた東側のエリア、東京臨海高速鉄道八潮車両基地の横を通過する計画です。
東京貨物ターミナル駅の下り本線は、駅の北側において、貨物駅に出入りするための踏切を通過します。これを羽田空港アクセス線に転用した場合、貨物駅への自動車の通行を阻害する恐れがあるため、JR東日本では、この踏切の前後を高架化する計画です。
また、東京臨海高速鉄道の車両基地横では、車両の留置線や保守基地線を設置する計画。留置線は、上下線間に2本が待避線として整備される予定となっています。
ちなみに、東京貨物ターミナル駅の下り本線は、現在は列車が全く通りません。そのため、一部がJR東日本東京支社の技術訓練センター「ななかまど」として転用されており、外部からもさまざまな分岐器や模擬ホームといった訓練施設を見ることができます。
羽田空港アクセス線は、当初計画では東海道本線東京駅方面のルートのみを整備する予定ですが、将来計画としてはりんかい線への乗り入れも想定されています。これが実現した場合には、この付近から八潮車両基地のアプローチ線を経由し、東京テレポート駅方面へと線路が繋がる見込みです。
東京貨物ターミナル駅を出た東海道貨物線は、大田市場の手前でトンネルに入り、昭和島や羽田空港旧整備場エリア、天空橋駅付近などの地下を経由して、川崎貨物駅へと至ります。
一方、羽田空港アクセス線は、東京貨物ターミナル駅の南側で東海道貨物線と別れ、新規に建設するトンネル区間へと進入。京浜島を経由し、羽田空港へと至ります。
羽田空港アクセス線の羽田空港新駅(仮称)は、首都高速湾岸線の直下、第1旅客ターミナルビルと第2旅客ターミナルビルの中間に設置される予定。駅は15両編成対応の島式ホーム1面2線で建設する計画です。
JR東日本が、グループ経営ビジョン「変革2027」において、「シームレスな移動」の実現を目指し建設を推進すると定めた羽田空港アクセス線。この路線が開業すると、東京~羽田空港間の所要時間は約18分と、現在の約28分(東京モノレール経由)から10分程度短縮されます。
2021年4月時点では、田町駅の線路切り換え準備を除き工事着手には至っていませんが、予定では2022年度から工事を始める計画。早ければ2029年度にも、東京駅を羽田空港行きの列車が発着することとなります。